●こんなお話
室町時代の百姓一揆をおこす話。
●感想
丁寧な時代劇でアクションも多くて見応えがある作品でした。テンポも良くて長く感じない2時間ちょっとでした。大泉洋さんが格好良いリーダーとして見えて楽しい娯楽映画だったと思います。ただ、人物が多くて焦点がどこにあるのかわかりにくく、終盤の展開もあっさり終わってしまった印象もありました。
時は応仁の乱の少し前、京の都は飢饉と病で荒れ果て、人々は生きるのもやっとの状況。幕府や貴族たちは腐敗しきっていて、庶民を見捨てて遊び暮らしている。
そんな世を変えたいと思っているのが主人公の大泉洋さん。かつては幕府側だったみたいだが、理不尽な権力に嫌気がさし、今は都を転々としながら、自分の理想を語り合える仲間を探している。
主人公のもとに集まってくるのは、才蔵という少年が弟子入り志願して主人公は修行先に預けて1年トレーニングして棒術の達人になる。ほかにも槍の名手、弓の射手、力自慢の男たちなど、いわば“世捨て人”たち。それぞれ理由があって世の中からドロップアウトした者たちだが、兵衛の思想に共感して少しずつ集まってくる。
そんな彼らが狙うのは、貴族たちの財産を奪って貧しい人々に分け与える計画。だが当然、幕府の警備隊が黙っているはずもなく、兵衛のかつての親友であり今は幕府側の堤真一さんが討伐隊を組織。アウトローたちは数では不利だが、奇策を使って一揆をおこして京を燃やしていく。
クライマックスでは兵衛と道賢の一騎打ちも描かれ、かつて同じ理想を語った男同士の、悲しい決着がつけられる。
娯楽に振り切っていている映画で、時代劇らしい抑制の効いた演出というよりもケレン味重視な見せ方が良かったです。人が死んでもみんな楽しそうという。セットも衣装もリアルに作られていて、冒頭の都の荒廃ぶりなどはなかなか迫力がありました。
アクションシーンも多くて、棒術や槍術の殺陣がかなりしっかり迫力ありました。特に才蔵のアクションはスピード感があって良かったと思います。
ただ、人物の焦点が多くて、仲間の背景もさらっとしか描かれないので、もう少しドラマが欲しかった部分もある。気づいたら主人公のもとに仲間が集まって計画が始まって決行していくというサクサクと進んで行ってしまう印象でした。終盤の戦闘もあっさりしていて、あまり盛り上がりきらずに終わってしまったのは惜しかったです。
とはいえ、「現代的な時代劇」を見たという満足感はあり、エンタメ作品だったと思います。
☆☆☆
鑑賞日:2025/07/26 Amazonプライム・ビデオ
監督 | 入江悠 |
---|---|
アクション監督 | 川澄朋章 |
脚本 | 入江悠 |
原作 | 垣根涼介 |
出演 | 大泉洋 |
---|---|
長尾謙杜 | |
松本若菜 | |
遠藤雄弥 | |
前野朋哉 | |
阿見 201 | |
般若 | |
武田梨奈 | |
水澤紳吾 | |
岩永丞威 | |
吉本実憂 | |
土平ドンペイ | |
稲荷卓央 | |
芹澤興人 | |
中村蒼 | |
矢島健一 | |
三宅弘城 | |
柄本明 | |
北村一輝 | |
堤真一 |