映画【ミーン・ストリート】感想(ネタバレ):ダメな親友との不器用な絆が胸に残る、ニューヨークを舞台にした人間ドラマ

Mean-Streets
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●こんなお話

 ニューヨークのチンピラたちの話。

●感想

 ニューヨークで日々を生きる男たちの姿が描かれていく。登場するのは、日本製のレンズをつかまされて不機嫌になる男、突然郵便ポストを爆破してしまうような衝動的な男、そして教会に通いながらも犯罪の世界に身を置く主人公など、それぞれの人物がリアルで、どこか危うさと哀しさを感じさせました。

 主人公の親友チャーリーは、どうしようもない借金まみれの男。取り立ての男に追われているのに、女の子を連れて酒を飲み、空気を読むこともできず、言い訳ばかりする典型的なダメ人間。でも、そんなチャーリーに対して主人公は「なんとかしろ」と忠告しつつも、突き放すことができない。

 主人公たちは、叔父の命令でレストランや酒場に出向いて取り立てを行い、ときには乱闘沙汰になったりもする。警察に捕まりそうになればワイロで解決し、日常の中で不穏さと暴力が同居しているのが当たり前のように描かれていきます。

 ある日、自分たちの店で客同士による射殺事件が起こり、関係者全員が逃走。その一方で、主人公はチャーリーの従妹と恋人関係になっていて、彼女と静かに過ごす時間も描かれる。彼女は主人公と引っ越したいと思っているが、主人公は「チャーリーと一緒にいないとダメだ」と言い出してしまい、言い争いになる場面も印象的でした。

 チャーリーの借金が想像以上に膨れ上がっていることを知った主人公は、何とか立て替えようとするものの、肝心のパーティーにもチャーリーは現れず、主人公がブチギレて説教。にもかかわらず、そのあと一緒に借金を返そうと動き出しても、チャーリーは持っていた金でまた酒を奢ってしまうという呆れるような行動を見せる。しかし、悪びれることもない彼の強心臓ぶりに、どこか愛しさも感じてしまうものでした。

 クライマックスでは、主人公と恋人、そしてチャーリーの3人が車で移動中に突然の襲撃を受け、銃撃と事故で物語はおしまい。

 全体を通して、どこかドキュメンタリーのようなタッチで描かれていて、はっきりした起承転結ではなく、日常がそのまま流れていくような構成。大きな山場があるわけではないですが、その分キャラクターたちの生活感やリアリティが強く伝わってきました。

 とくに、ダメでどうしようもないのにどこか憎めないチャーリーの存在感が際立っていて、観終わったあとは「ジョニー・ボーイ」という存在がいとおしくなるような1本でした。

☆☆☆

鑑賞日:2023/09/15 DVD

監督マーティン・スコセッシ 
脚本マーティン・スコセッシ 
マルディク・マーティン 
出演ロバート・デ・ニーロ 
ハーヴェイ・カイテル 
デイヴィッド・プローヴァル 
エイミー・ロビンソン 
リチャード・ロマナス 
チェザーレ・ダノヴァ 
ヴィクター・アルゴ 
ロバート・キャラダイン 
ジェニー・ベル 
デミッキ・デイヴィス 
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