映画【墨攻】感想(ネタバレ):斬新な籠城戦が光る!戦術アクション映画の中で揺れる人間ドラマ

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●こんなお話

 中国の戦国時代に弱小国が大国に攻められて、そこに助っ人が来て平和とは戦うとはを悩む話。

●感想

 手勢がわずかな城での籠城戦という設定はとても魅力的でしたし、そこに現れる主人公がさまざまな戦術で攻めてくる大軍を迎え撃つという展開にはワクワクさせられました。エンタメとしては中盤の戦いが見どころで、仕掛けや工夫が光っていました。

 ただ、その後の展開がどうにも退屈で。後半は籠城戦ではなく、城内での内ゲバに焦点が移ってしまい、盛り上がりに欠けた印象でした。しかも、いかにもな「無能で悪い城主」と、彼の側近たちが主人公の足を引っ張るという、ありきたりなパターンで進んでしまいます。もう少し意外性や人物描写に厚みが欲しかったです。

 カタキ役として登場するアン・ソンギはビジュアルも立ち居振る舞いもカッコよくて、もっと彼との一騎打ちや因縁深い対決が描かれたら盛り上がったと思いましたが、そこまでの火花は散らなかったのが残念。

 主人公側も、内部で揉めごとが起きるのに、その展開自体に面白さや意外性がなく、物語のテンポが急に鈍ってしまった印象を受けました。そもそも主人公が属する「墨家」についての背景が説明不足で、なぜ彼がたった一人でこの城を助けに来たのかも腑に落ちなかったです。

 彼は戦争のプロのような描かれ方をしていたのに、戦いの犠牲を目の当たりにして急に葛藤を抱き始めるなど、キャラのブレも気になったり。ヒロインである近衛兵の女性との悲恋っぽい要素も描かれるが、そこも中途半端で印象が薄いまま終わってしまった印象でした。

 最初の籠城戦のアイデアはすごく良かっただけに、全体のバランスや後半の展開がもっと工夫されていれば、さらに熱中できる作品になったと思う1作でした。

☆☆☆

鑑賞日: 2015/12/26 Hulu

監督ジェイコブ・C・L・チャン 
脚本ジェイコブ・C・L・チャン 
原作森秀樹 
出演アンディ・ラウ 
アン・ソンギ 
ワン・チーウェン 
ファン・ビンビン 
ニッキー・ウー 
チェ・シウォン 
ウー・マ 
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