映画【キングスマン】感想(ネタバレ):英国紳士スパイ誕生!

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●こんなお話

 地球を救うために人類の数を調整しようとする過激な大富豪と戦うスーパースパイの話。

●感想

 1997年、中東で実行された人質救出作戦の最中、キングスマンのエージェントであったリー・アンウィンは、仲間へ向けて投げ込まれた手榴弾から隊員たちを守るため自ら犠牲となる。作戦終了後、リーの上司だったハリー・ハートは遺族のもとを訪れ、幼い息子エグジーへ「困った時にはこの番号へ電話をしてほしい」と記されたメダルを手渡す。

 それから17年後、エグジーは優秀な頭脳と身体能力を持ちながらも、その才能を持て余していた。母親は再婚していたものの、義父ディーンは粗暴な男であり、エグジーは家庭でも居場所を見つけられずにいた。ある日、不良仲間と高級車を盗み警察に逮捕されたエグジーは、父の形見であるメダルの存在を思い出し、記されていた番号へ連絡を入れる。

 彼の前に現れたのは、高級テーラー「キングスマン」の仕立て職人を名乗るハリー・ハートだった。しかしその正体は、国家にも属さず世界の均衡を守る秘密諜報機関キングスマンのエージェント「ガラハッド」だった。ハリーはエグジーの父が英雄だったことを伝え、空席となった新たなエージェント候補として試験への参加を勧める。

 エグジーは世界中から集められた候補者たちと共に過酷な選抜試験へ挑む。水没する部屋からの脱出訓練、飛行機からの降下試験、線路上での度胸試しなど、生き残るための試練が次々と課される。裕福な家庭で育った候補者たちの中で、エグジーは劣等感を抱えながらも、仲間を見捨てない行動力と機転によって存在感を示していく。

 候補者には一匹ずつ犬が与えられ、エグジーはパグ犬に「JB」と名付けて大切に育てる。しかし最終試験で候補者たちは、自ら育てた犬を撃つよう命じられる。エグジーは命令を拒否して試験会場を去るが、後に銃が空砲だったことが判明する。キングスマンが見ていたのは命令への服従ではなく、自らの信念を貫ける人物かどうかだった。

 その頃、世界的IT企業の創業者リッチモンド・ヴァレンタインは、人類増加による環境破壊を止めるため、地球規模の人口削減計画を進めていた。彼は世界中へ無料配布したSIMカードを利用し、人間の攻撃性を極限まで増幅させる電波を発信することで、人類同士を殺し合わせようとしていたのである。彼の側には、鋭利な刃を仕込んだ義足を武器に戦う護衛ガゼルが付き従っていた。

 ハリーはヴァレンタインの計画を追う中で、アメリカの過激派教会へ潜入する。しかしヴァレンタインの発した電波によって教会内の人々は凶暴化し、互いを殺し合う地獄絵図と化す。ハリーもまた電波の影響を受けながら戦い続け、教会内の人間を全滅させてしまう。

 だが教会の外で待っていたヴァレンタインは、ガゼルの援護を受けながらハリーの頭を撃ち抜く。

 さらにキングスマン内部では、組織の長であるアーサーがヴァレンタインと内通していた事実が発覚する。ヴァレンタインは世界中の権力者へ特殊なチップを提供し、計画発動時にも安全圏へ逃れられるよう手配していた。エグジーはアーサーから勧誘されるが、拒否して毒殺されそうになるが、昔ながらのスリのテクニックで回避する。

 ハリーの死を知ったエグジーは、技術担当マーリン、同期候補生ロキシーと共にヴァレンタインの計画阻止へ向かう。ロキシーは気球を使って人工衛星へ接近し、電波発信装置の破壊を担当する。一方のエグジーは敵の秘密基地へ潜入する。

 計画が発動すると、世界中で人々が突如として暴徒化し、街は混乱に包まれる。エグジーは基地内部でガゼルと死闘を繰り広げ、靴に仕込まれていた毒刃を利用して彼女を倒す。

 そしてヴァレンタインに、エグジーがガゼルの義足を突き刺して倒す。同時にロキシーの作戦も成功し、人工衛星は破壊される。さらにヴァレンタインが世界の権力者たちへ埋め込んでいたチップが暴走を起こし、世界中で頭部が花火のように爆発する。

 そしてエグジーは、任務中に救出したスウェーデン王女ティルデとの再会を果たし、新たな人生へ踏み出していく。 事件解決後、エグジーは正式にキングスマンのエージェントへ任命され、新たな「ガラハッド」の称号を受け継ぐ。高級スーツを身にまとった彼は、かつて母親と妹を苦しめていた義父ディーンの前へ現れ、「マナーが紳士を作る」というハリーの言葉を口にしながら叩きのめす。


 落ちこぼれだった若者が英国紳士スパイとして成長していく王道のサクセスストーリーと、過激なバイオレンスを笑いへ変えてしまうブラックコメディが見事に融合した作品でした。

 主人公エグジーはエリート候補たちから見下される立場にありながら、持ち前の頭の回転と人を思いやる優しさを武器に試練を乗り越えていきます。その姿はスポ根作品の主人公のような熱さがあり、自然と応援したくなりました。

 また、本作最大の魅力はやはりアクションシーンの独創性にありました。教会で繰り広げられる長回し風の大乱戦は、今なお語り継がれる名シーンです。人体が切断されるような過激な描写が続くにもかかわらず、スタイリッシュなカメラワークと軽快な音楽によって、不思議な爽快感を生み出していたのが印象的でした。

 秘密基地への突入やスーツに隠された多彩なガジェット、傘型シールドや仕込み靴など、往年のスパイ映画へのオマージュも随所に散りばめられており、作品全体からスパイ映画への愛情が感じられます。ジェームズ・ボンド作品をはじめとしたクラシックなスパイ映画が好きな方ほど楽しめる仕掛けが多かったように思います。

 一方で、終盤の決戦については比較的ストレートな構成で進んでいくため、もう一段階ひねりのある頭脳戦や駆け引きが加われば、さらに印象に残るクライマックスになったようにも感じました。

 それでも、テンポの良さと勢いは最後まで失われず、コメディ、アクション、青春ドラマの要素を高いレベルで両立させたエンターテインメント作品として非常に満足度の高い一本でした。コリン・ファース演じるハリー・ハートの圧倒的な格好良さも含めて、多くの観客を虜にした理由がよく分かる作品だったと思います。

☆☆☆☆

鑑賞日: 2016/01/04 Blu-ray 2018/01/27 Blu-ray 2026/07/12 Amazonプライム・ビデオ

監督マシュー・ヴォーン 
脚本マシュー・ヴォーン 
ジェーン・ゴールドマン 
原作マーク・ミラー
出演コリン・ファース 
マイケル・ケイン 
サミュエル・L・ジャクソン 
タロン・エガートン 
マーク・ストロング 
ソフィア・ブテラ 
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