●こんなお話
一度だけ立ち合いをしたほのかに想いを寄せる男の人が悪い上司に騙された形で切腹になっちゃったので、リベンジして討ち果たそうとする話。
●感想
お城の庭でお花見ができる日が時々あり、女性たちはそこに集まって華やかな時間を過ごしている。主人公もそのひとりで、剣の腕前が優れていることから若い男性が立ち合いを申し込んでくる。立ち会いには父親も立ち会い、主人公は一本を取られてしまう。勝負のあと、主人公はその男性にお茶を出し、彼は礼儀正しく帰っていく。
その立ち合いの印象が強く残るなか、主人公には婚約者ができる。だがその婚約者は何をするでもなく、ひたすらご飯を食べるだけの存在。心に残っているのは、立ち合いをしたあの青年のこと。彼は城勤めのまじめな人物で、ある日使者として他家に赴くが、事前の根回しをしていなかったことが仇となり、恥をかかされたとされて切腹してしまう。
突然の悲報に戸惑う主人公は、婚約者に事情を探るよう頼む。婚約者は城でのつてを使って同僚たちから話を聞き、彼が実は騙されていたことが判明。これを知った主人公は怒り、黒幕に果たし状を送り決闘を申し込む。場所に現れた敵と激しい立ち回りを繰り広げ、リベンジを果たす。そして、騒動の後始末は婚約者が引き受け、物語はおしまい。
作品全体に流れるのは、日本の四季の美しさと所作の丁寧さ。襖を開け閉めする動作、ご飯を食べる所作、礼儀を重んじた挨拶など、どれも美しく描かれていて目を引かれました。北川景子さんの演じる女剣士も殺陣のキレがよく、ビジュアルも含めてかっこよさが際立っていたと思います。
ただ、物語全体としては、主人公と想い人がお互いに気持ちを持ちつつも身分の壁で離れていくという構図があり、恋愛と復讐の要素が混ざるものの、感情の流れがやや断絶している印象を受けました。後半は婚約者が捜査を担い、主人公が待機状態になることで、物語の緊張感が少し緩んでしまうのが惜しかったです。
人間関係や世界観の説明も、女友達と歩きながら「あの人はこう」「この家はああ」といった長台詞で進められるため、集中して聞かないと状況がつかみにくく、テンポが悪く感じられました。物語が本格的に動き出すのも上映から1時間ほど経ってからで、やや遅さを感じたのも残念なポイントでした。
それでも、ビジュアルの美しさと殺陣の見応え、そして主人公の芯のある姿勢が印象に残る1本でした。
☆☆
鑑賞日:2014/06/04 Hulu 2024/05/27 U-NEXT
監督 | 中西健二 |
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脚本 | 長谷川康夫 |
飯田健三郎 | |
原作 | 藤沢周平 |
出演 | 北川景子 |
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甲本雅裕 | |
宮尾俊太郎 | |
相築あきこ | |
佐藤めぐみ | |
市川亀治郎 | |
伊藤歩 | |
柄本明 | |
國村隼 | |
藤村志保 |