映画【ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃】感想(ネタバレ):怪獣映画の常識を覆す!ゴジラの圧倒的強さと防衛軍の苦闘を描く一作

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●こんなお話

 日本を破壊するゴジラと日本を守る神々との戦いの話。

●感想

 物語は、防衛軍の准将である主人公が、過去にゴジラが日本を襲ったときの経験を講演する場面から始まる。その最中、グアム近海でアメリカの潜水艦が行方不明になる。防衛軍が救出に向かうと、海底に光る尾びれを発見。それがゴジラであることが判明する。

 准将の娘は、超常現象をテーマにした低俗番組のアナウンサーで、地方ロケで騒ぎを起こして市長たちから反感を買っていた。その一方で、若者たちが謎の怪獣に襲われる事件が起き始める。現場を取材していた娘は、謎の老人と出会い、大和を守るための怪獣がゴジラであり、それに対抗する「護国聖獣」が目覚めようとしていると推理。父である准将にその考えを伝えるが、まったく相手にされない。

 やがてバラゴンが登場し、箱根でゴジラと対決。東京ではモスラとキングギドラがゴジラ迎撃に挑むが、圧倒的な力の前に次々と倒れていく。防衛軍は新兵器「削岩弾」を投入し、ゴジラの口の中に潜水艦ごと突入して爆破するという作戦を決行。最後はゴジラが内部から爆発しておしまい。

 白目で表現されたゴジラの異様な存在感と、容赦のない強さがとにかくかっこいいです。バラゴン、モスラ、キングギドラといった日本古来の怪獣たちが登場しますが、彼らは人間を守る存在ではなく、あくまで「国土を守る怪獣」として描かれています。そのため、彼らの戦いは人間を巻き込み、病院が野戦病院のような混乱になるシーンなどもあり、怪獣映画としてのスケールと現実感が同居していたのが印象的でした。

 防衛軍は装備を充実させてきたものの、実はゴジラをどう倒すのかという決定打は見つけられておらず、それを隠してきた上層部の苦悩も描かれます。作戦前に「3分で灰にしてやる」と意気込むもまったく歯が立たない展開には切なさもありつつ、怪獣と共闘しての総攻撃に向けて盛り上がっていく流れにはカタルシスがありました。

 娘の恋人であり記者の青年も怪獣の歴史を追う役として序盤は重要な存在でしたが、後半になると自転車で中継する役割に徹してしまい、走り続けるばかりで退屈に感じました。さらに、クライマックスの横浜での怪獣同士の夜の戦いも、暗い映像の中で同じような攻防が繰り返され、視覚的に単調になってしまったと思います。

 そして何より、ゴジラが強すぎるせいで他の怪獣たちがとても弱く見えてしまうのが残念。モスラと融合して強化されたギドラが「これから反撃か」と思った矢先にやられてしまう展開は、あっけなくて虚しさすら覚えました。人間側の恋愛描写も、物語の流れを妨げていたように感じて、むしろ不要だったのではと思います。ゴジラの信念や人間たちがどう向き合うべきかという部分にもっと焦点を当てた方が作品としての深みが出たのではないだろうかと考えたり。

 主人公とその父親の関係性をもっと深く描きつつ、怪獣たちの戦いに集中すれば傑作になったかもしれないです。とはいえ、前半の怪獣が集まってくるまでのワクワク感、後半の怪獣総攻撃のお祭り感は間違いなく楽しめるポイントの1作でした。

☆☆☆

鑑賞日: 2013/06/17 DVD 2023/11/10 Hulu

監督金子修介 
脚本長谷川圭一 
横谷昌宏 
金子修介 
出演新山千春 
宇崎竜童 
小林正寛 
佐野史郎 
南果歩 
大和田伸也 
村井国夫 
天本英世 
中村嘉葎雄 
津川雅彦 

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