●こんなお話
終戦直後の東京にゴジラが現れて政府が機能しないので民間人でゴジラを撃退しようとする話。
●感想
物語の始まりは1945年、大戸島。特攻隊員である主人公の戦闘機が島に不時着する。機体不良と言い張るが、整備士が見ても異常は見つからない。その夜、ゴジラが基地を襲撃。整備士は主人公に機銃で応戦するよう促すが、主人公は動けず、整備士が殺されてしまう。生き残った主人公は整備士から「なぜ戦わなかった」と責められ、深く傷つく。
やがて終戦。主人公は故郷に戻るが、空襲で両親はすでに亡くなっていた。近所の人からも「なぜ生きて帰ってきた」と責められ、心が沈んでいく。そんなとき、赤ん坊を抱えた謎の女性が現れ、「この子をお願いします」と言い残して姿を消す。後日、その女性が再び現れ、強引に主人公の家に住みつくようになる。
生活のため、主人公は機雷除去の仕事に就くことに。女性は「生きてください」と止めようとするが、赤ん坊を育てるにはお金が必要だった。仕事を通じて主人公は仲間たちと出会い、少しずつ前を向いていく。
一方で、アメリカ海軍の艦艇が巨大生物に襲われる事件が多発。主人公たちは破壊された船の調査に向かい、そこでゴジラと遭遇する。銃撃も通じず、巡洋艦の砲撃すら効かない。ゴジラは圧倒的な力で次々と街を破壊していく。
女性は銀座で仕事を始めるが、ある日銀座にゴジラが現れ、街を焼き尽くす。駆け付けた主人公の目の前で、女性は熱線を浴びて吹き飛ばされてしまう。
ゴジラを止めるため、民間人たちが集まり、博士が考案した深海に沈めて圧死させる作戦が立案される。もし失敗した場合は急浮上させて倒すという危険な計画だった。旧日本軍の関係者たちも集まり、当初は消極的だったが、艦長の一言でやる気を見せはじめる。
主人公は秘密裏に開発されていた戦闘機を発見。整備には時間がかかるが、冒頭で自分を責めた整備士に助けを求め、修理を依頼する。
ゴジラが再び上陸し、作戦は早々に狂う。主人公はゴジラを海に誘導し、作戦を再開。ゴジラを沈めることには成功するが、死なずに再浮上しようとする。船が足りず窮地に陥ったとき、応援の船やボートが駆けつける。みんなでゴジラを引っ張り、なんとか作戦を続行するも、やはり倒しきれない。ついに主人公は戦闘機ごとゴジラの口に特攻し、頭部が爆発。彼はパラシュートで脱出し、生還する。
物語のラスト、帰還した主人公のもとに電報が届き、病院で再び女性と再会する。
特攻もできず、帰国しても責められ続けた主人公が、「自分の戦争はまだ終わっていない」と感じながら進んでいく姿は重くて、でも印象深かったです。一緒に暮らしながらも恋愛関係でもない女性との距離感も独特で、見ていてどんな関係なのかが最後までよくわからなかったです。そのせいで感情移入しづらく、彼女がなぜ主人公の家に突然住みついたのか、その動機も見えにくかったり。
有志が集まってゴジラ撃退の作戦に乗り出す流れも唐突で、納得できるような背景があまり描かれていなかったです。「やってやろう」という士気の高まりにもついていけず、見ていて盛り上がることができなかったり。
クライマックスのゴジラの暴れ回る場面も、迫力や高揚感よりも、ただ淡々とCGの巨大生物が街を壊していく印象しか残らなかったです。
恋愛でもない、戦争ヒューマンドラマでもない、娯楽怪獣映画としても中途半端で、何を見せたいのかが分かりづらく、最後まで入り込めなかったのが正直な感想で。設定や演出は興味深い部分もあっただけに、惜しい一本でした。
☆☆☆
鑑賞日:2023/11/11 イオンシネマ座間 2024/05/11 Amazonプライム・ビデオ
監督 | 山崎貴 |
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脚本 | 山崎貴 |
VFX | 山崎貴 |
出演 | 神木隆之介 |
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浜辺美波 | |
山田裕貴 | |
青木崇高 | |
吉岡秀隆 | |
安藤サクラ | |
佐々木蔵之介 |