映画【スター・ウォーズ/フォースの覚醒】感想(ネタバレ):懐かしさと繰り返しの中で光るスター・ウォーズ精神

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●こんなお話

 ルークが消えたのでルークの居場所がわかる地図を巡っていいもんとわるもんが戦う話。

●感想

 物語は、ルーク・スカイウォーカーの居場所を示す地図の断片がBB-8という小型ドロイドに託されるところから始まる。この地図を狙ってファースト・オーダーが襲撃し、BB-8はなんとか逃走。地元でスクラップ回収をして生計を立てている女性主人公レイと出会うことになる。一方、襲撃の最中に良心の呵責から脱走したストームトルーパー、フィンが墜落後にレイと合流。BB-8を守るため、一緒に逃亡することになる。

 逃走中、彼らはかつての英雄ハン・ソロとチューバッカに出会い、ミレニアム・ファルコンでの大脱出が展開される。レジスタンスと合流し、レイア・オーガナ将軍とも再会。地図の謎を解くため、フォースに精通した旧知の仲間の元を訪れるなど、冒険が進むにつれてレイの中に眠るフォースの力が少しずつ目覚めていく。

 そして物語は、惑星そのものが兵器となったスターキラー基地を巡るクライマックスへ。レジスタンスは基地破壊のために決戦を挑み、ハン・ソロはダークサイドに堕ちた息子カイロ・レンと対峙。説得を試みるも、悲劇的な結末を迎える。フィンとレイはカイロ・レンとライトセーバーで対決し、最終的には基地が爆破されて勝利。物語は、レイがルークを探し出す場面でおしまい。

 本作は、CGアニメのような質感だったプリクエル三部作とは異なり、旧三部作を彷彿とさせる質感のある画作りが印象的でした。レトロな特撮と現代のCG技術が自然に融合しており、まさに「スター・ウォーズらしさ」を感じられる作品でした。特に旧作から続投したマーク・ハミルやキャリー・フィッシャーが、年齢を重ねたままの存在感で画面に登場する場面は、懐かしさと感動が同居していて心に残りました。

 ストーリー自体は、ロボットに託された地図を巡って善と悪が戦うという、まさに『エピソード4』の再演のような構成。人間関係は『エピソード5』にも通じるものがあったり。新鮮さには欠けるものの、あえて旧作の構造をなぞることで、「あの頃のスター・ウォーズをもう一度見たい」というファン心理に応えていたと思います。

 ただし、カイロ・レンという敵キャラクターはどうしても魅力に欠けていたと感じました。ダース・ベイダーのような神秘性や威圧感はなく、仮面を外してみると普通の青年。かっこよさよりも思春期的な不安定さが目立ち、物事がうまくいかないとすぐ癇癪を起こして物を壊す姿には、恐ろしさよりも小物感が漂ってしまう。レーザーをフォースで止める演出はインパクトがありましたが、その後の戦闘では簡単に負傷してしまい、強さの説得力が薄かったです。

 また、ファースト・オーダーという新たな悪の組織も、どこか間が抜けていて緊張感に欠けました。敵が怖くないと、追いかけられるスリルも弱くなってしまう。ポー・ダメロンというレジスタンスのパイロットも配置が中途半端で、キャラクターの印象が弱かったのは残念でした。

 全体として130分という尺はやや長く感じました。ライトセーバー戦やドッグファイトにも旧作のような迫力や切れ味がやや足りず、終盤は少し眠くなってしまったのも正直なところです。

 そしてルーク。ジェダイの教えを受け継ぎながら、またしても弟子育成に失敗して失踪。結局、ルークの育ての親だったオーウェンおじさんの方が立派だったのではないか、と感じてしまいました。ジェダイという存在が理想と現実の間で揺れる姿は、まさに『スター・ウォーズ』シリーズの繰り返されるテーマなのかもしれないです。

☆☆☆☆

鑑賞日: 2015/12/23 TOHOシネマズ川崎  2016/05/23 TSUTAYA TV 2023/11/12 Disney+

監督J.J.エイブラムス 
共同脚本J.J.エイブラムス 
ローレンス・カスダン 
オリジナル原案ジョージ・ルーカス 
出演デイジー・リドリー 
ジョン・ボイエガ 
オスカー・アイザック 
ドーナル・グリーソン 
アンディ・サーキス 
ルピタ・ニョンゴ 
マックス・フォン・シドー 
マーク・ハミル 
ハリソン・フォード 
キャリー・フィッシャー 
アンソニー・ダニエルズ 
ケニー・ベイカー 
ピーター・メイヒュー 
アダム・ドライバー 

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