●こんなお話
相変わらず鉄の玉座を巡って、みんな大変なことになっていく話。
●感想
タイウィン・ラニスターの死によって七王国の均衡は大きく崩れ始める。キングズランディングではサーセイ・ラニスターが若き王トメンを後ろ盾に権力を握ろうとするが、父タイウィンのように周囲をまとめ上げる力はなく、むしろ敵を増やしていく。マージェリー・タイレルやタイレル家の勢力を警戒したサーセイは、宗教勢力である〈雀聖兵〉とハイ・スパローを利用してライバルを排除しようと画策する。しかしその策はやがて自分自身へ跳ね返り、サーセイは不倫や近親相姦などの罪を追及されて投獄されてしまう。
さらに釈放の条件として課せられた贖罪の行進では、全裸で街中を歩かされ、市民から罵声や汚物を浴びせられることになる。
ティリオン・ラニスターは父タイウィンを殺害した罪でウェスタロスを追われ、ヴァリスと共にエッソス大陸を旅していた。ヴァリスはティリオンに対し、七王国を変えられる可能性を持つ人物としてデナーリス・ターガリエンへ仕えるよう説得する。旅の途中でジョラー・モーモントに誘拐されたり奴隷商人へ売られたりと散々な目に遭うが、最終的にはデナーリスとの対面を果たす。ティリオンの知性と政治感覚を評価したデナーリスは、彼を側近として迎え入れる。
デナーリスはミーリーンで統治者として苦悩していて。奴隷解放によって理想の国家を築こうとしたものの、現実は甘くなく、〈ハーピーの息子たち〉と呼ばれる反乱組織が暗躍する。忠臣バリスタンまでもが襲撃によって命を落とし、治安は悪化していく。政治的妥協としてヒズダール・ゾ・ロラクと結婚するが状況は改善しない。そして闘技場再開の日、大規模な襲撃が発生する。四方を敵に囲まれた絶体絶命の中、巨大な竜ドロゴンが姿を現し、炎で敵を焼き払う。デナーリスはドロゴンの背に乗って飛び去り、そのまま消息不明となる。シーズン終盤ではドスラク人の大集団に取り囲まれることになり、彼女の運命は次章へ持ち越される。
北ではジョン・スノウがナイツウォッチ総帥に選出される。スタニス・バラシオンからスターク家の姓とウィンターフェル領主の座を提示されるが、ジョンは誓いを守る道を選ぶ。そして迫り来るホワイト・ウォーカーに対抗するため、長年敵対してきた野人たちと手を組もうと決断する。
ジョンは野人たちを救出するため北の果てへ向かうが、そこへナイトキング率いる死者の軍勢が襲来する。大量の死者が雪崩のように押し寄せ、人々を次々と食い殺していく。ジョンはヴァリリア鋼の剣ロングクロウでホワイト・ウォーカーを倒し、人類にも対抗手段があることを示す。しかし撤退する船の上から見たのは、ナイトキングが両手を掲げるだけで死者全員を蘇らせる。
その後ジョンは野人を受け入れたことで仲間たちから裏切り者扱いされる。アリザー・ソーンら反対派は策略によってジョンを呼び出し、一人ずつ短剣を突き立てる。最後には幼いオリーまでもがジョンを刺し、「ナイツウォッチのためだ」と告げる。雪の中で倒れ込むジョン。
ウィンターフェルではサンサ・スタークがピーター・ベイリッシュの策略によってラムジー・ボルトンと結婚させられる。ラムジーの残虐な性格によってサンサは心身ともに追い詰められ、シオンにも虐待の様子を見せつける。そんな中、シオンは少しずつ本来の人格を取り戻していき、最終的にはサンサと共に城から脱出する決意を固める。
アリア・スタークはブラーヴォスで〈黒と白の館〉に入り、ジャクェン・フ=ガーのもとで修行を続ける。過去も名前も捨てて“何者でもない者”になるよう求められるが、アリアはどうしてもスターク家としての復讐心を捨てられない。そして宿敵メリン・トラントを発見すると、命令を無視して惨殺する。その結果、掟を破った罰として視力を奪われてしまう。
ドーンではジェイミー・ラニスターとブロンが活躍する。ジェイミーは娘ミアセラを連れ戻すため危険な潜入作戦を実行する。しかしようやく帰国できると思われた矢先、エラリア・サンドの毒によってミアセラは命を落とす。実の父娘であることを打ち明けた直後に娘を失う。
スタニス・バラシオンは、王としての器を感じさせる人物だったが、メリサンドルの予言を信じ続けた結果、実の娘シリーンを火刑に処してしまう。その行為によって兵士たちの士気は崩壊し、妻は自殺し、軍勢も離反する。弱体化した状態でボルトン軍に挑んだスタニスは敗北し、最後はブライエニーによって討たれる。
主要人物のほとんどが人生最大級の試練に直面するシーズンとなった。ジョン・スノウは刺殺され、デナーリスは行方不明となり、サーセイは屈辱を味わい、サンサは脱出を果たし、アリアは盲目になる。それぞれの運命が最悪とも言える状況まで追い込まれた状態で次のシーズンへ。
相変わらず登場人物の数がとんでもなく多く、それぞれが別々の場所で同時進行に物語を進めていくため、脇役クラスになってくると「この人は誰だったかな?」と迷うこともありました。しかし、それを補って余りあるほどメインキャラクターたちの運命が激しく動き続けるシーズンでした。
特にスターク家の面々は見ていて本当に気が休まりません。サンサはようやく故郷に帰れると思ったらラムジー・ボルトンのもとへ嫁がされることになり、想像以上の苦境へ放り込まれます。アリアもまたブラーヴォスで不思議な修行を続け、どんどん普通の少女ではなくなっていきます。ブランやリコンの動向も気になりますし、スターク家の未来を考えるだけで不安になります。
一方で、かつて憎たらしかったラニスター家の面々がどんどん人間味を見せて魅力的になっていくのも面白いところでした。ティリオンは相変わらず知性とユーモアを兼ね備えた最高のキャラクターですし、ジェイミーも娘を救うため危険なドーンへ向かう姿が実に格好良かったです。その隣で文句を言いながらも付き合うブロンも最高でした。二人のやり取りは重苦しい展開が続く本作の中で貴重な癒やしになっていました。
サーセイも最初は息子の王妃マージェリーとの権力争いで優位に立っているように見えました。しかし宗教勢力を利用した結果、自分自身がその宗教に裁かれる立場になってしまう展開は皮肉そのものです。牢獄で弱っていく姿や、贖罪の行進で屈辱を受ける姿には同情してしまいました。これまで散々好き放題してきた人物なのに、なぜか応援したくなってしまうのがこのドラマの面白いところです。
スタニスの物語も非常に印象的でした。王としての威厳があり、戦略家としても優秀な人物だっただけに、メリサンドルへの信仰によって破滅へ向かう流れは見ていてつらかったです。特にシリーンの火刑はシリーズ屈指の衝撃場面でした。あれだけ聡明で優しい娘を犠牲にした結果、何一つ良い方向へ進まない展開はあまりにも残酷です。
デナーリス側の物語も見応えがありました。奴隷解放という理想を掲げながらも、実際に国家を運営する難しさに直面する姿が描かれます。ドラゴンを持っていても政治は思い通りにならず、忠臣バリスタンを失い、ジョラーも苦労の連続です。それでも闘技場でドロゴンが飛来する場面はシリーズ屈指の興奮を味わえました。
そして何と言っても第8話のハードホームです。ホワイト・ウォーカー軍団との戦いは、まるで『ワールド・ウォーZ』のような絶望感に満ちていました。大量の死者が壁をよじ登り、人々を飲み込んでいく映像は圧巻です。ナイトキングが死者を一斉に蘇らせるラストカットは鳥肌が立ちました。
さらに第10話では主要人物たちが次々と地獄のような状況へ追い込まれていきます。ジョンは刺され、デナーリスは包囲され、サーセイは屈辱を受け、アリアは盲目になる。普通のドラマならシーズンの終わりに少しは希望を見せそうなものですが、本作は容赦なく視聴者を崖から突き落としてきます。
登場人物たちの運命が気になりすぎて、一気見していてもすぐ次を再生したくなる中毒性がありました。第五章もまた、『ゲーム・オブ・スローンズ』という作品の凄まじい吸引力を存分に味わえるシーズンだったと思います。
☆☆☆☆☆
鑑賞日: 2016/10/02 Blu-ray 2026/06/17 U-NEXT
| 原作 | ジョージ・R・R・マーティン |
|---|---|
| 製作総指揮 | デヴィッド・ベニオフエイダン・ギレン |
| 出演 | ピーター・ディンクレイジ |
|---|---|
| キット・ハリントン | |
| エミリア・クラーク | |
| レナ・ヘディ | |
| ニコライ・コスター=ワルドウ | |
| ソフィー・ターナー | |
| メイジー・ウィリアムズ | |
| エイダン・ギレン |


