映画【SAYURI】感想(ネタバレ):美しい映像で描かれる異国情緒と一人の芸者の成長譚

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●こんなお話

 ある娘さんの一代記の話。

●感想

 千代は病気の母と働けない父のもとで暮らしていたが、家庭の事情により姉の佐津とともに業者に売られ、京都・祇園へと連れて行かれる。姉は遊郭へ送られ、千代は置屋に引き取られるが、そこでは人気芸者・初桃から激しい嫌がらせを受け、下働きとして厳しい日々を送ることになる。

 千代は姉と再会するため逃亡を試みるが失敗し、怪我を負った上に多額の借金を背負わされ、芸者としての教育の道も断たれてしまう。絶望の中で生きる希望を失いかけたある日、千代は偶然出会った「会長」と呼ばれる紳士に優しく声をかけられ、かき氷を与えられる。そのささやかな出来事が心に残り、千代は再び前を向き、芸者として成功することで会長に再び会うという目標を抱くようになる。

 数年後、千代の美しさに目を留めた実力派芸者・豆葉が彼女を引き取り、芸者としての厳しい修行を施す。千代は「さゆり」という名を与えられ、舞や三味線、礼儀作法を身につけながら頭角を現していく。豆葉はさゆりを売り出すために策略を巡らせ、水揚げを巡って医師や富豪の間に競争を起こし、結果として高額での成立を実現させる。これによりさゆりは祇園でも屈指の人気芸者へと成長する。

 さゆりは幼い頃に出会った会長への想いを胸に抱き続けるが、豆葉の意向により会長の友人である実業家ノブとの関係を深めることになる。ノブはさゆりに対して真剣な愛情を抱き、将来的に旦那として支えたいと考えるようになるが、さゆりの心は会長に向いたままで揺らぐことはない。その一方で初桃はさゆりの成功を妬み続け、妨害を重ねるが、最終的には自身の行動によって信用を失い、置屋を去ることになる。

 やがて戦争が始まり、祇園の華やかな世界は大きく変わる。さゆりは地方へ疎開し、過酷な労働を強いられる生活へと移る。戦後、荒廃した社会の中で祇園に戻ったさゆりは、再び芸者として活動を再開し、復興の中で再び人々をもてなす役割を担っていく。

 その後、ノブが旦那になろうと決意する中で、さゆりは会長への想いを断ち切れず、ある行動に出る。自分が別の男と関係を持つ場面をノブに見せることで、彼に嫌われるよう仕向ける計画を立てるが、友人の裏切りによってその場に現れたのはノブではなく会長だった。自らの姿を見られたことで、さゆりはすべてを失ったと感じる。

 しかし後日、会長と再会したさゆりは、彼が幼い頃から自分を見守っていたこと、そしてノブへの配慮から距離を保っていたことを知る。会長は長年抱いていた想いを打ち明け、さゆりもまた自身の気持ちを伝える。こうして二人はようやく互いの想いを確かめ合うことになっておしまい。


 映像の美しさに関しては非常に印象的で、色彩や衣装、美術の一つひとつに細やかなこだわりが感じられ、華やかな世界観に引き込まれる力がありました。ハリウッド作品ならではのスケール感と洗練された画作りによって、祇園という空間が幻想的に描かれている点は見応えがあります。 

 一方で、日本文化を題材にした作品として鑑賞すると、細部において独特の違和感を覚える場面もありました。人物の所作や文化の描写がどこか外側から見た視点に寄っている印象があり、その点で物語への没入感が途切れてしまう瞬間もありました。

 物語自体は、過酷な境遇に置かれた少女が芸者として成功していく成長譚と、一人の男性への想いを貫く恋愛劇が軸になっていますが、その感情の積み重ねがやや淡く感じられる部分もあり、強い共感に至るまでには距離を感じる構成でした。それでも、さゆりの一途な姿勢や、彼女を取り巻く人々の関係性には一定の魅力があり、とりわけノブの誠実さは印象深く残りました。

 全体として、物語そのものよりも映像体験としての価値が際立っており、豪華な美術と演出を楽しむ作品として記憶に残る一本であると感じる1作でした。

☆☆☆

鑑賞日: 2016/09/25 DVD 2026/04/26 DVD

監督ロブ・マーシャル 
脚本ロビン・スウィコード 
ダグ・ライト 
原作アーサー・ゴールデン 
出演チャン・ツィイー 
渡辺謙 
ミシェル・ヨー 
役所広司 
桃井かおり 
工藤夕貴 
コン・リー 
大後寿々花 

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