●こんなお話
東日本大震災で福島第一原発で働く職員さんなど決死の作業の話。
●感想
1幕目で平和な日常を描くのではなく、開始1秒から震災が発生して緊急事態の原発を描いていく緊張感がよかったです。それが120分続いてどっと疲れる内容でした。あの日、原発の現場で何があったのかを知ることができました。
テロップや原発の地図などでしっかりと状況などを説明してから作業員の行動に入るため、彼らが何をしようとしているのかわかりやすい見せ方もよかったです。あそこのバルブを開ける、水を入れる、など次から次に問題が発生して対応していく現場の作業員の方たちの苦労を知ることができてそれだけでも価値のある1本だと思いました。
ベテラン俳優さんたちの存在感もさすがで現場の作業員や東電の職員、政治関係者、皆さん素晴らしいお芝居でリアリティあるものに一層なっていたと思います。
佐野史郎さん演じる総理大臣は登場してからずっと叫び続けていて疲れそうだなと心配してしまうくらい常に怒っているキャラクターでした。映画だと単純にオマヌケな総理というわかりやすい方向になっていましたが、原作にあった東電との情報のかみ合わなさや情報が上がってこない不信感も描いてほしかったです。
それに仕方ないですが、現在進行形で解決していない事故なので映画として2号機の圧力を下げるために努力しているうちに結果偶然何とかなった、的なもので終わっちゃうのでカタルシスなどはないのが残念でした。それに主人公の子ども時代に「お父さん、お正月に帰ってね」的な回想もいるのかな? という感じでしたが、さらになぜかアメリカ軍の司令官的な人が「いい思い出だ」と飛行機のラジコンを日本の少年と飛ばすという回想も一体何だったのか謎の思い出エピソードでした。それにやはり日本映画の問題点なのか、海外の役者さんが出てくると急に安っぽくなってしまうのも残念でした。そして最後のテロップも新型コロナウィルス後に見るとむなしいテロップになってしまっていました。最後に桜を見上げてよかったね的な終わりというのも現在進行形の問題なので何とも気まずい終わり方でした。
とはいえ、派手な映像も安っぽくなく原発事故が起こるとどうなるのかを勉強になれる1作でした。
☆☆☆
鑑賞日:2020/06/09 川崎チネチッタ 2021/03/11 WOWOW
監督 | 若松節朗 |
---|---|
脚本 | 前川洋一 |
原作 | 門田隆将 |
出演 | 佐藤浩市 |
---|---|
渡辺謙 | |
吉岡秀隆 | |
安田成美 | |
緒形直人 | |
火野正平 | |
平田満 | |
萩原聖人 | |
吉岡里帆 | |
斎藤工 | |
富田靖子 | |
佐野史郎 | |
堀部圭亮 | |
田口トモロヲ | |
段田安則 | |
篠井英介 | |
矢島健一 | |
小倉久寛 | |
和田正人 | |
石井正則 | |
三浦誠己 | |
堀井新太 | |
金井勇太 | |
増田修一朗 | |
須田邦裕 | |
皆川猿時 | |
前川泰之 | |
ダニエル・カール | |
小野了 | |
金山一彦 | |
天野義久 | |
金田明夫 | |
小市慢太郎 | |
伊藤正之 | |
阿南健治 | |
中村ゆり | |
ダンカン | |
泉谷しげる | |
津嘉山正種 |