映画【13日の金曜日 完結編】感想(ネタバレ):姉弟の絆が導く終焉、恐怖のクリスタルレイク再び

Friday-the-13th-The-Final-Chapter
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●こんなお話

 前作で死んだはずのジェイソンが復活してもとのクリスタルレイクにいる若者たちを殺していく話。

●感想

 キャンプファイアを囲む若者たちが、過去の出来事を語り始めるシーンから物語は幕開け。ジェイソンにまつわる恐怖の歴史を、まるで都市伝説のようにダイジェストで振り返っていく構成がユニークでした。その一方で、現場では警察が集まり、ジェイソンの死体を運び出す様子も描かれていて、クリスタルレイクは一見平穏を取り戻したかのように映ります。

 しかし、安らぎは長くは続きません。病院の遺体安置所では、勤務中にいちゃつく男女が描かれ、そこに理由もなく突如として甦ったジェイソンが現れ、無慈悲に襲いかかります。命を奪う理由など必要ないというジェイソンの不気味さが、この復活シーンで際立っていました。

 物語はクリスタルレイク周辺に暮らす家族へと視点を移します。姉と弟、そして母親の3人で静かに暮らしている家庭があり、その近くでは若者たちが別荘でバカ騒ぎ中。何の前触れもなく、ヒッチハイカーが殺され、若者たちも一人、また一人と静かに数を減らしていきます。

 中盤には、かつて家族をジェイソンに奪われた男性が復讐のために現れたりと、物語に動きが加わっていきます。しかしその人物も、期待を裏切るようにあっさりとやられてしまう場面があり、その無力さに悲しみが募ります。ジェイソンによる殺害の数々は、シャワールームでの襲撃や、ワインのコルク抜きを探していた若者にそのままコルク抜きが突き刺される場面、さらには窓から突き落とされるなど、多様な手口でスプラッター描写が連続し、恐怖と驚きが絶え間なく続きました。

 クライマックスでは、姉弟の絆が物語の軸となって立ち上がります。姉が囮になり、弟を逃がそうと試みますが、弟はジェイソンの子ども時代を再現すべく、即興で丸坊主になりジェイソンを心理的に揺さぶるという思い切った策に出ます。その隙をついて、姉がジェイソンの頭にマチェーテを突き刺し、ようやく彼を倒すという展開に。緊迫感のある場面の中に、子どもならではの発想と行動力が輝いて見えました。

 ラストでは病院のベッドにいる弟の表情がどこか狂気じみていて、観客に不安を残したまま物語が締めくくられます。この余韻が、作品全体を不気味さとともに記憶に残るものにしているように思います。

 全体を通して、首が飛んだり頭が割れたりといったスプラッター描写がかなり印象的で、ホラーとしての見せ場はしっかりと楽しめる作品でした。ただ、物語としての焦点がやや散漫になってしまっているような印象も否めず、姉弟の物語と、別荘での若者たちの騒動がやや分断されたまま進んでいくため、90分のうち半分ほどは方向性をつかみにくい部分もありました。

 とはいえ、ホラー映画に求められる殺人シーンのインパクトや、理屈抜きの恐怖の魅力、そしてあっという間に巻き込まれていく若者たちのスピード感のある展開など、スラッシャームービーとしての醍醐味は存分に味わえる一本だったと思います。

☆☆

鑑賞日:2023/06/29 U-NEXT

監督ジョセフ・ジトー 
脚本バーニー・コーエン 
原案ブルース・ヒデミ・サコウ 
出演クリスピン・グローヴァー 
キンバリー・ベック 
コリー・フェルドマン 
ローレンス・モノソン 
テッド・ホワイト 
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