●こんなお話
雪に閉ざされた町で、過去に確執を持つ二人の男とひとりの少女が、進化したゾンビの襲撃に立ち向かう話
●感想
軍隊が守るバスで移動中に変異体に襲われてパニックになる中、妊娠中の女性が噛まれてしまう。それから9年後、ウイルスによって人々がゾンビのような変異体へと変貌してしまった世界から始まる。雪に覆われた町「ハーモニー」はかつて安全地帯と信じられていたが、そこにジャックとその娘ルー、そして隣人のパトリックが静かに暮らしていた。ジャックとパトリックは隣家同士でありながら、互いに柵を挟んで関わりを避けていた。過去のわだかまりを抱えたまま、緊張した日常を送っている。
ある日、パトリックが犬を連れて散歩していると、半分食われたキツネの死骸を発見する。跡を追った先で未知の変異体に遭遇し、逃げ惑うが危うく襲われそうになる。間一髪、犬が身を挺して守ったことで命を取り留めた。やがてジャックの家からの発砲が変異体を引き寄せ、緊張は一層高まっていく。
夜、ルーは物音を聞きつけて窓の外を覗き、変異体の影を目撃する。物語が進むにつれて、母親エマの過去や、父パトリックとジャック、そしてルーを巡る秘密が明らかになっていく。そこに妊娠中の女性が現れ、ラジオでパトリックの声を聞いた自らのグループがハーモニーに向かったものの、変異体の襲撃を受けて壊滅したことを語る。彼女は命からがら生き延びてきたのだった。
変異体は盲目であるが、聴覚が異常に発達しており、凍結環境に適応していることも判明する。夜が訪れると猛攻が始まり、ジャック、ルー、パトリック、そして女性は家に立て籠もって必死に応戦する。女性は大音量の音楽を流して変異体を混乱させるが、発電機の燃料切れで音が途絶え、防衛線は崩れていく。パトリックは囮となる決意を固め、爆薬を仕掛けて変異体を引きつけ、雪原の闇の中で炎とともに命を散らす。
最終的にジャックとルー、そして女性は車で雪原を疾走し、夜明けを迎えておしまい。
雪景色の美しさが際立ち、終末世界における静謐な恐怖が印象的でした。父と娘の関係性に焦点を当てた描写も強く心に残り、親子の絆を軸にしたサバイバル劇として見応えがありました。一方でアクションシーンは手振れが激しく、せっかくの緊張感が映像的に伝わりにくかったのは残念に感じます。ただ、閉ざされた環境のなかで信頼と葛藤が交錯し、雪原を舞台にしたホラーサバイバルの一編として、独自の魅力を持つ作品でした。
☆☆
鑑賞日:2025/09/25 U-NEXT
監督 | ミゲル・アンヘル・ビバス |
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脚本 | ミゲル・アンヘル・ビバス |
ファン・デ・ディオス・ガーディノ | |
アルベルト・マリーニ | |
原作 | ファン・デ・ディオス・ガーディノ |
製作総指揮 | ミゲル・アンヘル・ビバス |
製作 | ジャウム・コレット=セラ |
出演 | マシュー・フォックス |
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ジェフリー・ドノヴァン | |
クイン・マッコルガン | |
クララ・ラゴ |