●こんなお話
学校で目が覚めると学校から出られなくなって校内をさまよいながら、脱出しようとして学園生活を回想する話。
●感想
軍人に監視される中、生徒たちが登校してくる場面から物語は始まります。ある男子学生が突然呼び止められて荷物検査を受けそうになりますが、仲間が機転を利かせて助けてくれ、難を逃れる。どうやら検査で本が見つかっていたら、大変なことになっていたよう。
その男子学生は、教師とともに発禁本の読書会に関わっており、仲間たちと共に秘密裏に活動している。やがて物語は、主人公が夜の学校で目を覚ますという展開に。外に出ようとすると、後輩と出会い、2人で校内を歩き回ることになります。
途中、怖い表情をした用務員が襲いかかってくるが、突然現れた軍人の幽霊のような存在がその用務員を殺してしまう。その後も読書会のメンバーが現れますが、彼もまた幽霊に首を絞められて命を落としてしまい、2人は逃げることになる。
夜の学校では、かつての仲間たちが誰かの密告によって殺されたという因縁があり、怨霊のような存在が主人公たちに怒りをぶつけてきます。その中で、主人公が先生に対して淡い恋心を抱いていたことが描かれ、また、父親が逮捕された背景には、実は母親の密告が関わっていたことが明かされていって。
さらに、物語の核心として、実際に密告していたのは主人公自身だったという事実が明かされます。捕らえられた先生と学生の別れの場面では、先生が「自由になるために生きろ」と語りかけ、生徒は涙を流しながら先生を見送ることになる。
ラストでは、年老いた学生が先生が本を隠していた場所を訪れ、そこに残された手紙を、かつての主人公に届けることでおしまい。
この作品は、戒厳令下の台湾を舞台としており、学校生活においても、ちょっとした発言や密告によって、逆さ吊りにされたり、軍人から激しい暴力を受けたりすることがあったという描写が印象的でした。当時の社会の緊張感と恐怖感が強く伝わってきて、「自由が欲しくなるのも当然」と感じさせられる内容でした。
主人公は、発禁本を模写して記録を残そうとする読書会のメンバーであり、教師に淡い恋心を抱いています。夜の学校で起こる怪異の数々――女子高生の幽霊に追われたり、鏡の中から現れる怪物に襲われたりといった恐怖体験を経ながら、回想を通して何が起きたのかが徐々に明らかになっていきます。
ホラーとしては、突然の大きな音で驚かす手法が多く、びっくりはしますが、怖さ自体はあまり強くなく、単調に感じられました。夢か現実か分からない描写が続き、物語への没入感が薄れてしまう場面もあります。また、主人公と教師の恋愛関係に近づく描写はやや唐突で、「高校教師」的な展開に違和感もありました。
全体としては、発禁本の読書会の存在がバレるかどうか、密告者は誰なのか、という謎が引っ張られる形ですが、それが延々と100分続くだけで、物語としての起伏が弱く感じられました。ゲームが原作であることの難しさなのかもしれません。
そのため、演出にも起伏や抑揚が少なく、現実と幻想の説明を繰り返す構成の中で、観ていて時間が長く感じられる作品でした。ただ、主演の女性は非常に美しく、14歳で作家デビューを果たしていたという才女ぶりにも驚かされる映画でした。
☆☆
鑑賞日:2021/08/04 TOHOシネマズ川崎 2023/10/21 Amazonプライム・ビデオ
監督 | ジョン・スー |
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脚本 | ジョン・スー |
フー・カイリン | |
チエン・シンケン |
出演 | ワン・ジン |
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ツォン・ジンファ | |
フー・モンボー | |
チョイ・シーワン | |
チュウ・ホンジャン | |
ジェシー・チャン | |
シア・ジンティン | |
リウ・シンミン | |
ユン・チョンユエ |