●こんなお話
少年時代の友達が刑務所出所して現れて自分の弟子を倒したので引退撤回して挑む話。
●感想
少年時代、主人公は悪友とともに地下のボクシング試合を見に行きました。悪友が地元のチャンピオンになる瞬間を目の当たりにし、勝利の喜びに沸く彼ら。しかし、その帰り道で主人公は偶然、因縁の相手と遭遇し、思わず暴行を働いてしまいます。そんな主人公を助けるため、悪友が銃を手にして駆けつける。
時は流れ、主人公は引退試合を見事に勝利で飾り、タワーマンションに家族とともに暮らしています。音楽プロデューサーの妻と仲睦まじく過ごし、娘との時間も大切にしています。彼が経営するジムには期待の若手ボクサーがおり、チャンピオンを目指して日々努力を重ねています。
そんな中、刑務所から出所した悪友が再び姿を現します。食事を共にしながらお金の支援を申し出るも、悪友はたかりではないと断ります。やがて悪友は主人公のジムに通い始め、トレーニングを続けることに。しかし、試合経験のない彼を試合に出すことはできず、主人公は断り続けます。
ところが、パーティー会場で若手の対戦相手が喧嘩で負傷し、試合に出られなくなってしまいます。仕方なく悪友が代役としてリングに上がることに。案の定、彼は予想外の強さを見せ、若手を倒してチャンピオンの座を手にします。
悪友は主人公への恨みを爆発させ、主人公は引退撤回を決意し、彼に挑むことになります。お互いに厳しいトレーニングを積み重ねて迎えたクライマックスの試合。結果はどちらにも明確な勝敗がつかず、ノーサイドのような形で試合は終わります。娘はリングを見渡しながら、ボクシングに憧れを抱き、主人公とともに会場を後にしておしまい。
悪友役のジョナサン・メイヤーズは、その目線や肉体美が非常に魅力的で、彼独特のボクシングの構え方も印象的でした。存在感のあるカタキ役として見事な演技を披露しています。
一方で、過去のシリーズで大きな存在感を放っていたロッキーについてはほとんど触れられず、少し寂しい気持ちになりました。物語は幼少期の悪友が成長して道を分かち、成功した主人公と刑務所上がりの悪友という対比から多くのドラマが期待できそうですが、その深掘りがあまりされていないように感じます。主人公と娘とのやり取りも時間をかけて描かれてはいるものの、単調に感じられる場面もありました。
ボクシングの試合シーンは迫力があるものの、全体の中での割合は少なく、また試合に至るまでの流れもややゆったりしているため、物語のテンポがやや落ち着いた印象でした。
これまでのロッキーシリーズではテーマ曲が流れると自然と気持ちが高まったものですが、この作品ではテーマ曲が流れても心が大きく盛り上がることはなく、淡々と終わってしまったことが少し残念な三作目でした。
☆☆☆
鑑賞日:2023/05/28 イオンシネマ座間
監督 | マイケル・B・ジョーダン |
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脚本 | キーナン・クーグラー |
ザック・ベイリン |
出演 | マイケル・B・ジョーダン |
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テッサ・トンプソン | |
ジョナサン・メジャース | |
ウッド・ハリス | |
フロリアン・ムンテアヌ | |
フィリシア・ラシャド |