映画【60セカンズ】感想(ネタバレ):エンジン音に酔いしれる夜、50台の車を巡る疾走劇

Gone in Sixtyseconds
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●こんなお話

 弟を人質にとられた元車泥棒がまた車泥棒をする話。

●感想

 物語は、車泥棒の現場からいきなり警察に追われるスピード感ある導入から始まります。かつて伝説的な車泥棒として名を馳せた主人公は、今は足を洗って穏やかに暮らしており、地元の子どもにレースの基礎を教えるなど平和な日常を送っていました。そんな彼のもとに、昔の仲間が突然現れます。弟が軽はずみに仕事を請け負ったものの失敗してしまい、依頼主を怒らせてしまったため、事態の収拾のために兄に助けを求めに来た。

 主人公はもう裏の世界から引退した身としてその依頼を断ろうとしますが、弟の命が危険にさらされていると知り、結局一晩で50台の高級車を盗み出すという大仕事を引き受けることになります。依頼主に会って話をつけようと試みる場面もありますが、当然取り合ってもらえず、結局は腕を信じて動くしか道は残されていない状況に追い込まれていきます。

 久々の大仕事に挑むにあたり、かつての仲間たちを次々と集めていく過程があり、個性的なメンバーたちが集まってくるのも見どころの一つ。そんな中、主人公が街に戻ってきたことで、彼の動向を怪しむ刑事が動き出し、張り込みや尾行などで警察の目もどんどん厳しくなっていきます。

 計画は決行され、一晩で50台を狙う大胆な作戦がスタート。テンポよく車が盗まれていきますが、やはり弟がまたしても失敗をしてしまい、状況が悪化する場面もありました。最終的に主人公が最後の一台を自らの手で奪い、警察とのスリリングなカーチェイスを繰り広げるクライマックスへ。車を依頼主に渡すも、裏切りに遭い命を狙われることに。そこへ弟や仲間たちが駆けつけ、助けに入るという流れで、一連の騒動が収束していきます。最後は悪党もきっちりと制裁され、仲間たちと共に日常に戻っていくという終わり方になっています。

 とにかく車がたくさん登場して、エンジン音や走行シーンを見ているだけでワクワクさせられました。派手なアクションよりも、走る美しさをしっかりと見せてくれるつくりが心地よくて、映像も非常に洗練されていて格好良かったです。

 キャストも豪華で、ロバート・デュバルやウィル・パットン、ヴィニー・ジョーンズと、存在感のある役者たちが揃っていたのですが、それぞれの役割がそこまで活かされていなかった印象はあります。もっとチームプレイとしての面白さを掘り下げてくれると嬉しかったのですが、実際はほとんどニコラス・ケイジ演じる主人公がひとりで切り抜けてしまう構成で、そのあたりに物足りなさを感じました。

 また、「一晩で50台盗む」という無謀な設定に対する緊張感や難しさの演出が少なく、あっさりと物事が進んでいってしまうところも、もう少しひねりがほしかったと思います。最終的に少しだけカーチェイスをして物語が落ち着くという流れで、全体としては軽やかなタッチの120分となっていました。

☆☆☆

鑑賞日:2023/05/28 Disney+

監督ドミニク・セナ 
脚本スコット・ローゼンバーグ 
出演ニコラス・ケイジ 
アンジェリーナ・ジョリー 
ジョヴァンニ・リビシ 
デルロイ・リンド 
ウィル・パットン 
クリストファー・エクルストン 
チィ・マクブライド 
ロバート・デュヴァル 
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