映画【クリード 炎の宿敵】感想(ネタバレ):父の遺志と過去の因縁を超える続編の光と影

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●こんなお話

 ボンボンアメリカ人と雑草魂ロシア人が戦う話。

●感想

 『ロッキー4』のまさかの続編という設定と、当時の役者たちの再集合は非常に熱く、特にリアルタイムでシリーズを追っていた人にとっては感慨深いものがありました。ストーリー自体も『ロッキー4』を踏襲しているため、続編としての面白さをしっかり持っているし、ボクシングシーンの迫力も文句なしでした。特にロシアでのクライマックスの試合では、何度もダウンしながらも立ち上がる両者の姿に手に汗握るものでした。

 とはいえ、この内容で130分というのは少し長く感じてしまいました。物語の冒頭で主人公がチャンピオンになったあと、父を殺したボクサーの息子から挑戦を受ける流れはわかるものの、ロッキーが「奴は野獣だ」と言って挑戦を避けようとし、コンビを解消するくだりは納得しづらかったです。チャンピオンとしてどんな挑戦でも受けるべきでは?という疑問が残ったし、単に師弟関係を切って主人公を窮地に落とす展開にしたかっただけに思えました。その後の主人公の落ち込み期間がかなり長く、感情の流れも単調になってしまいました。

 主人公は前作から経済的にはかなり恵まれており、ロッキーの大切なトレーニングノートを写メで済ますなど、少し無礼な態度が目立っていましたが、今作でもその印象は変わらず。どうしても共感しにくいキャラクターでした。ロッキー側の描写も、息子に電話するかどうかで延々と悩む場面が続き、親子関係や師弟の絆を描こうとしつつも、焦点がぼやけた印象でした。

 ボクシングの試合よりもプロポーズや出産、夜泣きなど家庭的なエピソードが多く、感情の持っていきどころに困りました。トレーニングシーンもシリーズの恒例ながら、どこかアップルのCMのようなお洒落映像になっていて、「なぜこれで強くなるのか?」という説得力には欠けていたと思います。

 むしろロシア側の親子のほうが魅力的に描かれていました。親子で朝からランニングしながら働き、国や母親からも見放され、それでも踏ん張る姿には感情移入できて、最後は彼らに泣かされました。ロッキーたち主人公チームよりも、ずっと人間らしく映っていました。

 終盤、まだ生まれたばかりの赤ちゃんを連れて一家でロシアまで来てしまう展開はさすがにリアリティに欠け、ベビーシッターが充実しているのか? プライベートジェットで来たのか? などと考えてしまい、クライマックスの試合に集中できなかったです。奥さんがリング入場時に歌って一緒に登場する演出も、正直なところ少し寒くて笑ってしまいました。

 熱いドラマの要素はあるものの、全体としては典型的な“2作目の失敗”という印象の作品だと思います。

☆☆☆

鑑賞日: 2019/01/13 シネマサンシャイン平和島 2020/09/04 Amazonプライム・ビデオ

監督スティーブン・ケープル・Jr. 
脚本シルベスター・スタローン 
ジュエル・テイラー 
ストーリーシルベスター・スタローン 
製作総指揮ライアン・クーグラー 
マイケル・B・ジョーダン 
出演シルベスター・スタローン 
マイケル・B・ジョーダン 
テッサ・トンプソン 
ウッド・ハリス 
フィリシア・ラシャ 
フロリアン・ムンテアヌ 
ブリジット・ニールセン 
ドルフ・ラングレン 

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