映画【バンブルビー】感想(ネタバレ):異星ロボットとの友情が心温まる家族向けSF

bumblebee
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●こんなお話

 高飛び込みができなかった女の子が異星人と出会ってたりして、結果、飛び込みができるようになるまでの話。

●感想

 これまでの『トランスフォーマー』シリーズは、激しいアクションと叫び声の多いハイテンションな演技が印象的でしたが、本作ではその路線から一転し、主人公と異星から来たロボットとの心の交流を軸に物語が展開していきました。そのため、シリーズの中でも最も親しみやすく、家族で楽しめる作品に仕上がってる感じで、これはこれで非常に楽しい映画体験でした。

 特に驚かされたのは、CGで表現されたロボットたちが画面狭しと自由自在に動き回るアクションが、ごく自然に描かれていた点です。技術的な完成度の高さを感じさせる映像表現は、まさにシリーズならではの迫力でした。

 一方で、物語の構成については、やや既視感が否めませんでした。主人公とロボットの間に友情が芽生える一方で、悪意を持った大人たちがそれを脅かしてくるという、ある種定番とも言える展開が淡々と続き、大きな驚きや見せ場に乏しかった点は残念に思いました。全体として、予告編で示されていた以上のインパクトはあまり感じられませんでした。

 また、家族の描写においても、主人公と母親や弟との距離感がステレオタイプなものであり、関係性の描き方が中途半端であったため、物語の中で和解したとしてもあまり感動的には感じられませんでした。

 さらに、登場する軍人たちもキャラクター設定が曖昧で、冒頭では訓練後に軽口を交わす場面などが描かれている一方で、物語の終盤ではまるで頼もしい兄貴分のような振る舞いを見せるという、キャラクターの一貫性に欠ける印象を受けました。彼らの役割がはっきりしないため、感情移入しにくいのが惜しいところです。

 そして、物語の中で主人公が軍に拘束されていたと思いきや、次の場面ではあっさり自宅を出て行動していたり、軍の基地に簡単に侵入できたりと、設定面でもリアリティに欠ける場面が散見されました。特に、重傷を負ったバンブルビーを、現地にあった銃を利用して電気ショックのような形で治療するという展開は、ややご都合主義的に感じられてしまいました。

 全体を通して、友情をテーマに据えた構成自体は温かく、親子でも安心して楽しめる作品ではあるのですが、それならば同様のテーマをより丁寧に描いた『E.T.』や『アイアン・ジャイアント』のような名作と比較したくなってしまい、本作の持つ独自性にはやや疑問を抱かざるを得ませんでした。

☆☆☆

観賞日: 2019/04/06 シネマサンシャイン平和島 2020/10/15 Amazonプライムビデオ

監督トラヴィス・ナイト 
脚本クリスティーナ・ホドソン 
原案クリスティーナ・ホドソン 
製作総指揮スティーヴン・スピルバーグ 
出演    ヘイリー・スタインフェルド 
ジョン・シナ 

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