映画【デッドプール】感想(ネタバレ):型破りなヒーローが放つ笑いとアクションの魅力

deadpool
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●こんなお話

 人体実験で不死身の力を手に入れた男のリベンジの話。 

●感想

 傭兵として細々と稼ぎながら、気ままに生きていたウェイド・ウィルソン。ある夜、偶然出会った娼婦のヴァネッサと意気投合し、ふざけ合いながらも深く惹かれ合っていく。二人の時間は冗談と愛情に満ち、やがて結婚を考えるほどの仲に。しかし幸せの中で突きつけられたのは、末期がんという現実だった。残された時間の短さに打ちのめされるウェイドの前に、謎めいた男が現れる。治療と引き換えに人体実験を受けるよう持ちかけられ、ヴァネッサには告げずその施設へ向かう。

 そこで待っていたのは、医療とは程遠い過酷な実験だった。エイジャックス(本名フランシス)とエンジェル・ダストによる残虐な拷問のような施術。酸欠や薬物注入などの苛烈な行為が続き、やがてウェイドの治癒能力は覚醒する。がん細胞は消滅したが、代償として全身は焼けただれたような皮膚となり、元の顔は失われた。怒りに駆られたウェイドは火災を発生させて施設を脱出するが、ヴァネッサにこの姿を見せられず、ジャンクヤードに身を潜める。

 自作の赤いコスチュームとマスクを身にまとい、「デッドプール」と名乗った彼は、エイジャックスへの復讐に動き出す。道中、X-MENのコロッサスとネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッドから仲間入りを勧められるが、軽妙な口調と毒舌のウェイドには合わず断り続ける。やがてエイジャックスを追い詰め、顔を治すことを条件に交渉を試みるが決裂。逆にヴァネッサを誘拐され、廃船での最終決戦が始まる。

 コロッサスやネガソニックも加わり、エンジェル・ダストや手下との激しい戦闘が展開される。派手なアクションと下ネタ満載の掛け合いの末、エイジャックスを捕らえるものの、顔を治す手段はないと告げられる。コロッサスは慈悲を説くが、ウェイドは迷わず引き金を引く。戦いの後、ヴァネッサの前に現れ、傷だらけの顔をさらすが、彼女は変わらぬ愛情を示し二人は再び抱きしめ合う。最後までカメラに向かって語りかけ、皮肉とメタ発言を忘れない主人公の姿が印象に残ります。

 本作は、主人公がカメラに直接話しかけるスタイルと、下品で毒のあるユーモアが魅力の一つになっています。オーソドックスなヒーロー像を崩し、型破りなキャラクター性で物語を引っ張る姿はとても楽しく見ることができました。
 一方で、物語そのものは「自分をこんな姿にした相手への復讐」というシンプルな筋書きで、ヒーロー作品としての意外性は少なめに感じます。主人公が動く理由も「恋人を救う」という王道なものであり、キャラクターの背景に深みを求める方にはやや物足りないかもしれません。

 物語は2年前にさかのぼり、ウェイドがデッドプールになる経緯が描かれますが、この部分はテンポが落ち着き、冒頭の高速道路でのアクションの勢いから一転して静かになります。元特殊部隊の経歴、ヴァネッサとの出会い、がんの告知、人体実験と続く流れは丁寧ではあるものの、アクションを期待する視聴者にはやや長く感じられる場面も。

 しかし、過去パートを抜けると物語は再び加速し、ヴァネッサ誘拐からの救出劇ではアクションもユーモアも全開に。コロッサスやネガソニックといった脇役たちは背景が十分に語られないまま登場しますが、その場のノリや派手な映像で楽しませてくれます。全体として、異色のヒーローが繰り広げる軽妙なやり取りとアクションのバランスが心地よく、娯楽作品として魅力的な一本でした。

☆☆☆

鑑賞日: 2016/06/02 チネチッタ川崎 2017/01/14 Blu-ray 2025/08/12 Disney+

監督ティム・ミラー 
脚本レット・リース 
ポール・ワーニック 
出演ライアン・レイノルズ 
モリーナ・バッカリン 
エド・スクライン 
T.J.ミラー 
ジーナ・カラーノ 
ブリアナ・ヒルデブランド 
レスリー・アガムズ 
カラン・ソーニ 

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