映画【ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜】感想(ネタバレ):ゾンビ×青春!?笑いと違和感が交錯するライトコメディサバイバル

Bucket List of the Dead (2023)
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●こんなお話

 ブラック企業に就職して憂鬱な主人公がゾンビの世界になって生活が充実する話。

●感想

 団地から出て出勤しようとする主人公が、突如としてゾンビに襲われるシーンから始まります。

 回想シーンでは、主人公がかつて入社した会社で理想に満ちた社会人生活を夢見ていたことが語られます。しかし、希望にあふれて迎えた初日、歓迎会の後に突如として膨大な仕事を一身に任され、そのまま徹夜続きの日々に突入。彼はすぐにその会社がブラック企業であると痛感します。親友から転職を勧められるものの、そう簡単に決断できず葛藤する様子も描かれ、学生時代のアメフトの話から言い合いに発展してしまうシーンも印象的。

 そんなある日、再び出勤しようとすると、街は一変してゾンビだらけの世界になっており、「会社に行かなくていい!」と主人公は逆に喜びを感じます。憧れの先輩を救うためにマンションを訪れたものの、ゾンビ化した社長に襲われ、さらに先輩までもがゾンビ化していたことを知り、彼は深く落ち込みます。

 その後、主人公は「やりたいことリスト」を作り、買い物や遊び、掃除や焼肉などを楽しむ自分中心の生活をスタートさせます。そんな中、コンビニでサバイバル生活を送るヒロインと出会い、行動を共にするようになります。

 また、喧嘩した親友を助けるために新宿のラブホテルへ向かい、途中でドンキホーテに避難する場面では、同じくサバイバルしていたCAの女性たちとも出会い、協力関係が生まれます。バス運転手がゾンビ化して襲い掛かる混乱を経て、彼らはキャンピングカーで水族館へと向かう旅へ出発します。

 途中、バラグライダーやキャンプなど非現実的なアクティビティを楽しみながら進んでいきますが、事故を経て目覚めた先は水族館。そこでは、かつてのブラック企業の先輩が支配的な体制を敷いており、サバイバルのはずが再び抑圧された社会の縮図に巻き込まれることになります。

 水族館がゾンビに襲われパニックとなる中、主人公は誰よりも仲間思いの行動を取り、みんなが見捨てようとしたリーダーを救おうと奮闘します。そしてクライマックスでは、「サメゾンビ」という巨大な敵と対峙し、乾電池を用いて鼻を叩くという謎の方法で撃退する展開も。

 最終的に、主人公たちは水族館を後にし、再びノートに夢を書きながら旅を続ける形で物語はおしまい。

 全体を通して、ゾンビ映画ではありますが、ホラーとしての緊張感やリアルなサバイバル感は薄く、むしろライトなコメディ要素に重きを置いた構成でした。インフラや物資の問題も描かれず、すべてが主人公の思い通りに進む展開に対し、やや共感しにくさや現実味の欠如を感じました。

 ゾンビ映画としての醍醐味よりも、ブラック企業からの脱出や「やりたいことをする」というメッセージが強調されていましたが、そのテーマもやや浅く、129分という長さに対して内容の薄さを感じてしまった点が正直なところです。

 ただし、ゾンビ化したサメという突飛な設定や、それに挑む主人公という構図には一定のユニークさがあり、ジャンル映画としての試みとしては面白い一面も垣間見えました。

☆☆

鑑賞日:2023/08/24 NETFLIX

監督石田雄介
脚本三嶋龍朗
原作麻生羽呂
高田康太郎
出演赤楚衛二
白石麻衣
栁俊太郎
市川由衣
川﨑麻世
早見あかり
筧美和子
中田クルミ
ドロンズ石本
佐戸井けん太
北村一輝
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