●こんなお話
核弾頭搭載のステルス機の演習中に軍に不満を持つカタキ役が核弾頭を強奪しちゃったんで、同僚パイロットの主人公が何とか取り戻そうとする話。
●感想
荒野の中、軍人ふたりがボクシングで汗を流す姿から物語が始まる。緊張感あるやりとりのなか、ステルス戦闘機による核弾頭搭載訓練がスタートし、そのまま一気にスリリングな展開へと進んでいく。冷たい空気のなかで進行するミッションの最中、上官は現状の軍の姿勢に不満を抱いているような口ぶりを見せるが、突然拳銃を取り出して部下に向けて引き金を引こうとする。そのままもみ合いとなり、最新鋭のステルス機はあっけなく墜落してしまう。
すぐさま墜落現場の捜索が開始され、主人公は地元のパークレンジャーと知り合い協力関係を築いていく。彼は墜落の背後に上官の思惑があることを察し、核弾頭の不正な持ち出しを食い止めるために奔走することになる。やがて軍の捜索部隊が核弾頭を発見するも、内部に裏切り者が潜んでおり、部隊は一瞬で壊滅。緊迫した空気が一気に張り詰めていく。
そんな中、主人公は追跡してくる敵方のヘリを拳銃ひとつで撃墜してしまうという豪快なアクションを披露。追跡チームはヘリを失ったことで陸路に切り替え、核弾頭をトラックに積んで輸送を始める。主人公たちはそのトラックを奪取し、核弾頭を地下に移して起爆不能にしようとするが、敵側の細工によって弾頭が作動を始め、緊張感は最高潮に達していく。
やがて銃撃戦の末、核弾頭のうちのひとつが爆発。被害の拡大を防ぐため、主人公は移動中の列車に飛び乗り、最後の決着に挑む。列車内での死闘の末、敵の上官を倒し、核弾頭ごと列車をクラッシュさせるというクライマックスを迎える。
全体的にアクションの密度が高く、ひとつの見せ場が終わるとすぐに次の展開が待ち受けていて、観ていて息つく暇もない構成でした。特にヘリコプターの撃墜シーンの連続や、爆発のスケールの大きさなど、派手な演出が連続していて、迫力を味わいたい方にはたまらない作品だったと思います。
核弾頭を巡る攻防が早々に本筋として提示され、あとは銃撃戦や追跡劇が連続して展開されていきますが、物語としてはやや既視感が強く、展開そのものにはあまり新鮮さは感じられませんでした。とはいえ、王道のアクション映画としての力強さがあり、そうした安定感を求めて鑑賞するには充分楽しめる内容だったと思います。
また、日本人としては核兵器という存在を「ただの爆弾」として描いてしまう点に少し抵抗を覚えてしまう部分もありました。設定上、物語の中で核が扱われることは理解できるのですが、その描き方には少し距離を感じてしまったのも正直なところです。
とはいえ、作品全体を通じてジョン・トラボルタの存在感が際立っており、彼のタバコの吸い方ひとつとっても独特の魅力があり、思わず真似してみたくなるような雰囲気を持っていました。彼の演技も含め、エンタメとしての完成度は高く、気軽に楽しむにはうってつけの一本でした。
☆☆☆
鑑賞日: 2015/01/28 Blu-ray 2023/04/23 テレビ東京
監督 | ジョン・ウー |
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脚本 | グラハム・ヨスト |
出演 | ジョン・トラヴォルタ |
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クリスチャン・スレーター | |
サマンサ・マシス | |
デルロイ・リンド |