映画【ブラックフォン2】感想(ネタバレ):湖畔キャンプで広がる恐怖と家族の再生物語

Black Phone 2
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●こんなお話

 夢に殺人鬼が現れて現実世界まで影響をして殺人していく話。

●感想

 前作の事件から4年が経ち、あの誘拐犯「グラバー」から生還したフィニーは、心に深い傷を抱えたまま17歳になっていた。日常を取り戻そうと努めてはいるものの、時折呼び起こされる恐怖が彼の心を掴んで離さない。一方、妹のグウェンにも変化が訪れていた。彼女は以前よりも頻繁に不安定な夢を見るようになり、暗くて奇妙なヴィジョン、そして亡くなった子どもたちの声が黒電話を通じて聞こえるようになる。まるで夢と現実の境界が溶けていくような感覚が彼女の中に広がっていた。

 ある夜、グウェンの悪夢は限界に達し、その強烈な映像に追い立てられるように、彼女は兄フィニーと友人エルネストに相談する。グウェンは、母ホープがかつて働いていた「アルパイン湖キャンプ」に行かなければならないと確信し、二人を説得してキャンプへ向かう決意を固める。そこは過去に少年時代のグラバーが関わった暗い事件が存在し、失踪した子供たちの霊が今もさまよっているという場所だった。

 キャンプに到着した三人は、グウェンの見るビジョンを頼りに真実を探し始める。夢の中で彼女は、母ホープもかつて同じ能力を持っていたこと、そしてグラバーの本名がワイルド・ビル・ヒコックであり、彼が母を殺害していたことを知る。また、グラバーは少年時代にこのキャンプで子供を襲い、遺体を凍った湖の下に隠していたことも明らかになる。グウェンが夢の中で受けた傷が現実の身体にも影響するなど、夢と現実は次第に絡み合い、緊張が高まっていく。

 現実の世界では、フィニー、エルネスト、グウェンの父親、キャンプ監督マンドらが協力し、過去に縛られた呪いを断ち切ろうと奔走する。グウェンは夢の中で亡くなった子供たちの霊を解放し、彼らの助力を得てグラバーとの最終決戦に臨むことになる。

 フィニーは現実世界でグラバーを追い詰め、グウェンは夢の中でドラム缶に隠された遺体を救い出す。氷に覆われた湖の上で、二つの世界が重なるように決着の時が訪れ、霊となった子供たちの怒りがグラバーの力を弱めていく。抵抗する彼はやがて氷の下へと引きずり込まれ、苦しめ続けてきた支配は終わりを迎える。

 その後、グウェンは黒電話を通して母ホープの声を再び聞く。母からのメッセージをグウェンは胸に刻み、フィニーや家族とともにキャンプを離れる。凍てつく記憶を抱えながらも、差し込む光の中を車で走っていき、物語は静かにおしまい。

 湖の冷たい空気が伝わってくるような映像が印象的で、舞台となるキャンプの雰囲気が作品全体の緊張感を引き立てていたと思います。特に凍った湖の描写は視覚的にも美しく、ホラー作品でありながらどこかしんとした静けさが漂っていて惹きつけられました。

 グウェン役の子役は泣く場面が非常に多く、物語の要となる感情表現を担っており、その熱演には強い説得力がありました。感情の揺れや恐怖を真正面から見せる演技は見応えがあり、物語を支える大きな力になっていたと感じます。

 スケートを使って迫ってくる殺人鬼グラバーも独特で、見た目のインパクトとアクションの組み合わせが面白かったです。氷の上での動きが恐怖と滑稽さの境界を揺らし、映像的な魅力のひとつになっていました。

 全体的には「エルム街の悪夢」を思い起こすような夢と現実が交差する設定が大きく、ホラーとしてより幻想的な方向へ広がっていた印象です。ただ、予知夢の描写が多くなり、物語がアート寄りのようなテンポになったため、途中で眠くなるほどゆったり感じる部分もありました。それでも映像や空気感が魅力的で、シリーズとしての世界観をさらに深めた作品だったと思います。

☆☆

鑑賞日:2025/11/23 劇場

監督スコット・デリクソン 
脚本スコット・デリクソン 
C. ロバート・カーギル 
原作ジョー・ヒル 
出演イーサン・ホーク 
メイソン・テムズ 
マデリーン・マックグロウ 
デミアン・ビチル 
ジェレミー・デイビス 
アリアンナ・リヴァス 
ミゲル・モラ 
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