映画【チョコレートドーナツ】感想(ネタバレ)

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●こんなお話

 育児放棄された少年を育てようとするゲイのカップルが差別と偏見と戦っていく話。

●感想

 1人の少年が女の子の人形を抱えて夜の街を歩いているところから始まる。ここからして夜の闇を暖色系の照明が照らし出している美しい映像からツカミはバッチリでした。
 主人公はゲイバーで女装して口パクで歌っている。そこで男性と良い仲になってカーセックスするけど、警官に無茶な言いがかりをつけられる。この国家権力による差別に主人公たちが苦しめられていくことになります。

 主人公の隣人が育児放棄してしまった知的障害の少年を育てて、主人公と恋人で一緒に生活していくことになる。
 朝ごはんを食べ仕事して、夜は宿題を一緒に見てあげて寝るときはハッピーエンドの話を聞かせてあげる。この中盤までの生活はまさに理想の家族でバッチリと感情移入してしまいました。
 この少年も素晴らしい存在感であの瞳で見つめられて頷かれたりするのがたまらなかったです。

 そしてゲイであることが世間に冷たい視線を浴びていくようになり、少年と引き離される。そこから裁判で何とか再び一緒に暮らそうと訴えていく描写が続いていきます。
 しっかりと主人公と少年の絆が描かれているので薬物中毒の母親と生活するより主人公恋人の方が少年に愛情を注いでいて一緒に生活するほうが幸せなのはわかっているのに、社会はそれを許さない。

 主人公や恋人さん役の演技力も素晴らしくて、本当に取り戻したい気持ちが痛いほど伝わってきました。裁判で幼児趣味やゲイのことを責められて恋人の地方検事が正義を訴えるシーンなんかも感動的でした。
 黒人の弁護士も味方につけて取り戻そうとするけど……。

 そして主人公は夢をかなえてステージで愛を歌い、恋人は今までの関係者に少年に誰が必要だったのかを訴えるシーンを描きながら、少年が夜の街を彷徨う。夜の映像の中、少年の後ろ姿があまりにも美しくて切なかったです。

 エンタメとして相手側や権力側がいかにも悪い人物に描かれてしまうのは仕方ないですが。1979年のアメリカであった出来事として辛い現実を見せてくれる面白い映画でした。

☆☆☆☆

鑑賞日: 2014/09/07 イオンシネマ多摩センター

監督トラヴィス・ファイン 
脚本トラヴィス・ファイン 
ジョージ・アーサー・ブルーム 
出演アラン・カミング 
ギャレット・ディラハント 
アイザック・レイヴァ 
フランシス・フィッシャー 
グレッグ・ヘンリー 
ジェイミー・アン・オールマン 
クリス・マルキー 

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