●こんなお話
今度は南アフリカにグラボイズが現れたので、バートガンマーが退治にやってくる話。
●感想
冒頭から主人公バートが、これまでのシリーズで登場したグラボイズについて、まるで自然科学番組のようなテンションで解説してくれる語りがあり、シリーズのファンとしては思わず笑みがこぼれる入り方でした。生態系の中でグラボイズがどのように進化してきたのか、また陸地、空中、水中といった多彩なバリエーションを持っていることなどが、ちょっとしたおさらいとして描かれており、物語が本格的に動き出す前の段階からぐっと惹き込まれる展開となっていました。
そして今回バートたちが向かう舞台は、アフリカの大自然。突如としてその土地に現れた新たなグラボイズの脅威に対し、またもやバートが退治を依頼されるというお馴染みの流れとなり、新しい相棒とともに現地へ飛ぶことになります。サバンナの乾いた大地を背景に、グラボイズとの戦いが繰り広げられていくのですが、シリーズを重ねたにもかかわらず、その戦いぶりはマンネリ化を感じさせず、むしろ毎回新鮮さがありました。
グラボイズのCGも予想以上にしっかり作られていて、低予算映画とは思えないほどの大迫力。地中から突如現れては人間を襲うという恐怖の演出も健在で、地面がうねるような動きとともに巨大な口が姿を現す瞬間には、思わず身を乗り出してしまいました。今回は特殊な環境下ということもあって、銃火器が効かないという設定が追加されており、では何で倒すのかという部分に面白さが生まれていました。なんと弓矢が効果を発揮するという、どこかB級らしい突飛な発想も混じりつつ、それを勢いとテンポで乗り切っていくのがこのシリーズの魅力なのだと思います。
特に印象的だったのが、物語後半に登場する“女王”の存在です。グラボイズの中でも一際巨大で凶暴な個体として描かれ、これまでの戦いとは一味違う緊張感を生み出していました。その女王との戦いも、銃撃戦や爆破といった派手なアクションだけでなく、自然の地形をうまく利用した戦略的なアプローチで描かれており、シリーズらしさと新しさが絶妙に融合していたように思います。
この作品は、確かにシリーズを1作も観たことがない方にとっては、人物関係や設定の理解にややハードルがあるかもしれません。ただ、シリーズを通して描かれてきた「人類vs未知の生物」という構図は、今作でもしっかりと受け継がれており、アクションモンスター映画としての王道を丁寧になぞっていると感じました。ジャンル映画としての作り込みがとても丁寧で、長く続くシリーズでありながら、今回も見応えのある一本だったと思います。
☆☆☆
鑑賞日: 2016/04/03 Blu-ray
監督 | ドン・マイケル・ポール |
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脚本 | ジョン・ウェルプリー |
出演 | マイケル・グロス |
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ジェイミー・ケネディ | |
アーネスト・ヌドロブ | |
ブランドン・オーレ |
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