映画【アフリカン・カンフー・ナチス】感想(ネタバレ):魂を燃やすリベンジカンフー!熱き拳が歴史を変える

African Kung-Fu Nazis
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●こんなお話

 ガーナでヒトラーと東条が第三世界を作ろうとしていて主人公が武術大会で戦う話。

●感想

 第二次世界大戦が終わったはずの時代。けれど、なぜかヒトラーと東条英機は生き延びていた。彼らが潜伏していたのはアフリカ・ガーナ。そこを拠点に、アーリア人の思想を独自に進化させ、空手を武器に街の人々を次々と制圧していく。人々は知らず知らずのうちにその思想に染まり、ヒトラーらによって“ガーナ・アーリア人”として洗脳されていくこととなる。

 そんな街に暮らす若者がひとり。彼は地元のカンフー道場で日々修行を重ねていたが、どうしても師匠に認められることができず、焦りや悔しさを抱えていた。道場の稽古帰りに励ましてくれる恋人の言葉に救われながらも、自分の力不足に肩を落とす日々が続く。

 そんな折、突如としてヒトラーらの軍勢が道場を襲撃。仲間たちもろとも壊滅状態となり、最愛の師匠も命を落とす。主人公もまた、深手を負って倒れてしまう。

 失意の中、それでも立ち上がった主人公は、砂ぼこり舞う郊外へと向かい、かつて伝説とまで謳われた酔拳の達人のもとを訪れる。さらに、鷹爪拳や八卦掌など、異なる流派の達人たちを訪ね歩き、それぞれの技を身体に刻み込んでいく。数日に及ぶ過酷な修行。滝に打たれ、薪を割り、倒れても起き上がる日々。その中で少しずつ己の身体と心が変わっていくのを感じる。

 やがて街で開かれることとなった“武術大会”。それは、ヒトラーと東条が自らの支配力を誇示するために仕掛けた催しだった。主人公は出場を決意し、試合に臨む。次々と強敵を倒していき、頂点に近づいていく中、避けては通れない戦いが待ち受けていた。それはかつて同じ道場で汗を流した盟友との対決だった。

 拳を交える中で、互いに交わす無言の対話。だが、その葛藤の最中、ゲーリングが現れ、戦いの余韻を残したまま、彼の刃が盟友の首を断つ。場内が凍りつく中、主人公の目には怒りと哀しみが宿る。

 決勝戦。ゲーリングを倒した主人公に、最後の敵として東条英機が立ちはだかる。重く鋭い拳を受けながら、ふと心に浮かんだのは、あの日々の修行、そして恋人の優しい声だった。そこからさらに力が湧き上がり、全身に熱が走る。最後の一撃で東条を地に伏せると、ナチスの旗に火を放つ。その瞬間、空が開けるように、街の人々の目が覚めていく。洗脳は解かれ、街に静けさが戻るかと思われた。

 だが、ヒトラーは最後のあがきに出る。銃を乱射しながら車に飛び乗り、逃走を図る。主人公はその車を追い、決して諦めることなく走る。やがて一台の車が火花を散らしながら炎に包まれ、街にふたたび静けさが戻る。

 演出は低予算ならではの工夫が随所に見られましたが、それがむしろ本作の味になっていたように感じました。カンフーの所作や構図には真剣な眼差しがあり、決してふざけた雰囲気ではなく、骨太なアクションとして成立していたと思います。

 出オチのような設定ながら、鑑賞中はその勢いに引き込まれ、次に何が起きるのかを追いかけたくなる魅力がございました。上映時間も80分ほどとテンポよく、リベンジを軸とした物語としてとても楽しめました。特に、訓練のシーンや決勝戦の盛り上がりには迫力があり、B級映画にありがちな緩さを感じさせない作りでした。

☆☆☆

鑑賞日:2023/04/11 Amazonプライム・ビデオ

監督セバスチャン・スタイン 
ニンジャマン 
脚本セバスチャン・スタイン 
出演エリーシャ・オキエレ 
セバスチャン・スタイン 
秋元義人 
マルスエル・ホッペ 
ンケチ・チネドゥ 
アンドリュース・メンサー 
アマンダ・アチアー 
ウォーカー・ベントル・ボアテング 
クワク・アドゥ 
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