●こんなお話
冷戦時代の核爆弾をめぐって、大御所俳優たちが楽しそうにアクションをする話。
●感想
かつてのCIA工作員たちが世界各地を舞台に大暴れするスパイ・アクションの続編。今回もベテラン俳優たちがそれぞれの持ち味を存分に発揮し、観ているこちらはただただ画面の豪華さにニヤニヤしながら楽しむだけの時間を過ごせました。ブルース・ウィリスをはじめ、ジョン・マルコビッチ、ヘレン・ミレン、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、イ・ビョンホン、アンソニー・ホプキンスらが入り乱れ、シリアスさをほどよく脱ぎ捨てた娯楽アクションが展開されていきます。
物語は、ある兵器をめぐってCIAやMI6、謎の傭兵組織などが入り乱れる中、主人公フランクがかつての仲間たちと再び集い、世界を救うために奔走していくという筋。正直、ストーリーの細かい部分はどんどんどうでもよくなっていくほどテンポよく、イベントが次々に発生していき、今この瞬間が楽しいならそれでいいという気持ちにさせてくれます。ヘリコプターが墜落してもほこり一つかぶらないようなブルース・ウィリスの無敵ぶり、1対7の乱戦でもまったくひるまず全員を一瞬で制圧するシーンなど、もはや超人の域に達していて、突っ込むだけ野暮な世界観に笑いがこみ上げます。
ジョン・マルコビッチは今回も独特の存在感で、ビンタをしてからハグするという謎の尋問スタイルが妙にクセになります。爆弾の中に入って寝るシーンもあったりと、どこかファンタジックな狂気が面白く、見ていて飽きません。そしてヘレン・ミレンのガンアクションは相変わらず惚れ惚れするほど堂々としており、優雅にして凛々しい姿が本当に格好いいです。ドレス姿でマシンガンをぶっ放すシーンなど、もはやお約束の粋に達していて、それだけで満足してしまうほどでした。
キャサリン・ゼタ=ジョーンズは妖艶な魅力で登場し、主人公を惑わしつつも自身の目的を貫く芯の強さを見せてくれます。LSDを盛って相手の意識を操作したり、鮮やかなドライビングテクニックを披露したりと、活躍の場面も多くて存在感は抜群でした。そして何といってもイ・ビョンホン演じる世界一の殺し屋が本作のもう一つの目玉。スーツ姿で回し蹴りを決める姿が美しく、鍛え抜かれた肉体を惜しみなく披露してくれます。暗殺者というより破壊神のように暴れ回り、パリの街をガンアクションでめちゃくちゃにしていく様子には笑ってしまいました。
主人公の恋人役メアリー=ルイーズ・パーカーも、やや場違いなキャラクターながら、巻き込まれて振り回されながらも、毎回ディープキスで事態を乗り越えていくという謎の突破力を発揮し、コメディリリーフ的なポジションで物語に軽さを添えてくれます。アンソニー・ホプキンスは精神を病んだ天才科学者として登場し、物静かな佇まいから一転、豹変する場面には緊張感がありました。
ストーリーの整合性やリアリティを求めると色々気になってくるかもしれませんが、そういう作品ではなく、世界各国を舞台に次々と展開されるイベントと俳優陣の掛け合いを楽しむ映画だと思います。途中で登場する「フグ」が英語でも「Fugu」とそのまま通じることがわかるなど、小ネタ的な発見もありました。とにかくヘレン・ミレンのアクションを観るだけでも十分に価値がある、そんな映画でした。
☆☆☆
鑑賞日: 2013/04/07 TOHOシネマズ南大沢 2020/11/25 テレビ東京
監督 | ディーン・パリソット |
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脚本 | ジョン・ホーバー |
エリック・ホーバー |
出演 | ブルース・ウィリス |
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ジョン・マルコヴィッチ | |
メアリー=ルイーズ・パーカー | |
アンソニー・ホプキンス | |
ヘレン・ミレン | |
キャサリン・ゼタ=ジョーンズ | |
イ・ビョンホン | |
ブライアン・コックス |