映画【呪怨 パンデミック】感想(ネタバレ):日本発ホラーがアメリカへ拡大

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●こんなお話

 カヤコとトシオくんが呪いの家を飛び出して海外進出する話。

●感想

 前作で呪いの家に足を踏み入れたカレンは、その後精神を病み入院生活を送っていた。妹のオーブリーが日本に呼ばれて姉を見舞うが、伽椰子の霊に追い詰められたカレンは病院の屋上から転落して命を落とす。突然の死に衝撃を受けたオーブリーは、母の命により姉の遺体を本国へ連れ帰ろうとするが、彼女自身もやがて呪いに巻き込まれていく。

 その頃、東京のインターナショナルスクールに通うアリソンは、友人ヴァネッサとミユキに誘われ肝試しで呪いの家に足を踏み入れる。恐怖に駆られて逃げ出したアリソンだが、家に入った影響で彼女にも呪いが降りかかる。帰国後のアメリカで不可解な現象に悩まされるアリソン。やがてヴァネッサやミユキも怪異に襲われ、次々に姿を消す。

 一方、シカゴでは再婚した主婦トリッシュが夫ビルやその息子ジェイクと新たな生活を始めていたが、家の中では黒い影や物音が絶えず、ジェイクは隣に越してきた家族の様子が明らかにおかしいことに気づく。彼らの家庭にも呪いは忍び寄っていた。

 オーブリーは日本で記者イーソンと出会い、伽椰子の過去を調べ始める。やがて判明するのは、伽椰子の呪いが家の中にとどまるものではなく、人から人へ感染のように広がる性質を持つことだった。伽椰子の父が行っていた呪術や、夫に殺害された事件の真相が浮かび上がり、物語は過去と現在を交錯させながら進んでいく。イーソンもまた暗室で襲われ命を落とし、オーブリーも伽椰子の夫の幻影に首を折られてしまう。

 そして舞台は再びシカゴへ。ジェイクが隣人に声をかけると、それはすでに呪いを受けたアリソンであった。彼の前に伽椰子が姿を現し、ジェイクは孤独な生存者として恐怖に直面する。アメリカの地にまで日本の呪いが広がり、物語は終わり。

 時間軸を入れ替えながら展開する構成はシリーズらしさが出ていて、その独特な作り方が魅力にもなっていたと思います。東京とアメリカ、二つの物語が別々に進行し、最後に一つに重なる仕掛けは見応えがありました。ただ、そこに至るまでの流れはやや間延びした印象もあり、観客の集中力を削いでしまう部分があったように思います。

 次々に襲いかかる怪異によって登場人物が命を落としていく演出はシリーズ定番の見どころですが、常にお化けに追われる展開が続くことで、観る側としてはやや食傷気味になってしまいました。ラブホテルや公衆電話といった場面にまで怪異が現れ、キャラクターたちが安らぐ暇もない状況は恐怖を際立たせていますが、一方でリズムの単調さも否めません。

 また、伽椰子の出生や母親の設定など、背景を掘り下げる試みは興味深いものの、母親が突然英語を話し出す場面などはやや違和感が強く、物語の緊張感を削いでしまう印象もありました。映像全体が暗めで、画面の見づらさが気になったのも正直な感想です。

 それでも「呪いが場所を越えて広がっていく」というテーマを前面に出した点は、従来のシリーズにはなかった新しさであり、作品全体の方向性を大きく広げる試みだったと感じました。

☆☆

鑑賞日:2020/07/30 DVD 2025/09/23 U-NEXT

監督清水崇 
脚本スティーヴン・サスコ 
出演アンバー・タンブリン 
アリエル・ケベル 
ジェニファー・ビールス 
エディソン・チャン 
宇野実彩子 
サラ・ローマー 
サラ・ミシェル・ゲラー 
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