●こんなお話
ネイビーシールズの作戦中に4人の隊員が200人のタリバンの猛攻に耐える話。
詳細ネタバレあらすじ
実際のネイビーシールズ訓練映像が流れる。氷水へ飛び込み、全身を傷だらけにしながら限界まで鍛え上げられていく隊員たちの姿が映し出される。その過酷な訓練を経て、仲間同士の強い信頼関係が築かれていく様子も描かれる。
2005年、アフガニスタン。アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズは、タリバン幹部アフマド・シャーを排除するため、「レッド・ウィング作戦」を実行することになる。
作戦に参加するのは、マーカス・ラトレル二等兵曹、マイケル・マーフィ大尉、ダニー・ディーツ二等兵曹、マシュー・“アクス”・アクセルソン二等兵曹の4人だった。彼らはヘリコプターでアフガニスタン東部クナル州の山岳地帯へ潜入し、山中からアフマド・シャー一派の動向を監視する任務を与えられる。
4人は夜の山岳地帯を慎重に進み、岩場を登りながら監視地点を確保する。翌朝、マーフィは望遠鏡越しにアフマド・シャーたちを発見し、本部へ連絡しようとする。しかし山間部では無線がうまく繋がらず、通信は失敗する。場所を移動しながら何度も送信を試みるが状況は改善しない。
そんな中、ヤギを連れた老人と青年、そして少年が偶然4人の潜伏地点へ現れる。隊員たちは彼らを拘束し、どう対処するか議論を始める。アクスは「解放すれば敵へ通報される」と主張し、ディーツもそれに同意する。しかしマーフィは非武装民間人を殺害することはできないと反対する。マーカスも苦悩しながらマーフィの判断を支持し、4人はヤギ飼いたちを解放する。
やがてその判断は現実になる。山中に大量のタリバン兵が現れ、4人を包囲する。激しい銃撃戦が始まり、隊員たちは崖を転がり落ちながら応戦する。身体を岩へ叩きつけ、骨折や裂傷を負いながらも撃ち続ける姿が延々と描かれる。
ディーツは重傷を負いながら崖下に飛び降りるのに遅れてしまい、敵兵に発見され銃撃を受けて命を落とす。
残されたマーフィ、アクス、マーカスはさらに山を下りながら戦闘を続ける。アクスは狙撃で敵兵を次々に倒すが、自身も腹部や背中に被弾し、血まみれになっていく。
通信不能のままでは全滅すると判断したマーフィは、敵弾が飛び交う中を単独で崖上へ登る。遮蔽物のない場所へ立ち、衛星電話で本部へ救援要請を送る。マーフィは敵の位置や部隊状況を伝えた直後、集中砲火を浴びて、そのまま死亡する。
本部は直ちに救援部隊を派遣する。大型輸送ヘリCH-47チヌークには増援のネイビーシールズと陸軍特殊航空部隊ナイトストーカーズが乗り込んでいた。しかし現地到着直後、タリバン兵が発射したRPGがヘリへ直撃する。チヌークは空中で爆発し、搭乗していた16人全員が死亡する。
山中ではアクスとマーカスがなおも戦い続けていた。アクスは満身創痍の状態で敵を射殺し続けるが、最後は複数の敵兵に囲まれて撃たれる。マーカスは仲間たちの死を目の当たりにしながら、一人だけ生き残る。
瀕死状態になったマーカスは、現地のパシュトゥーン人モハメッド・グラーブに発見される。グラーブはマーカスを自分の村へ運び込み、家族や村人たちと共に看病を始める。傷口を縫い、食事を与え、敵から隠し続ける。
やがてタリバン兵が村へ現れ、「アメリカ兵を引き渡せ」と要求する。しかしグラーブは、客人を守るというパシュトゥーンの掟“パシュトゥンワーリー”に従い拒否する。
グラーブは危険を承知で、手紙を持たせた使者をアメリカ軍基地へ送り出す。その後、タリバン兵が再び村を襲撃し、村人たちは武器を持って応戦する。マーカスも銃を手に取り、村人たちと共に戦う。
そこへアメリカ軍救援部隊が到着し、タリバン兵を制圧する。マーカスはヘリコプターで救出され、作戦唯一の生存者として帰還する。
ラストでは、実在した隊員たちの写真が映し出され、戦死した兵士たちの名前が表示されておしまい。
●感想
政治的背景やアメリカ軍の是非について考え始めるとかなり複雑な題材ですが、映画として観ると「少数精鋭VS圧倒的多数」という構図が非常に熱く、エンタメとして強烈な迫力がありました。
冒頭のネイビーシールズ訓練映像もかなり印象的です。氷水に飛び込まされ、全身傷だらけになりながら訓練を続ける隊員たちの姿を見るだけで、「この人たちは普通じゃない」という説得力が生まれていました。あの過酷な時間を共に乗り越えてきたからこそ、隊員同士の絆が特別なものになっているのも自然に伝わってきます。
序盤は比較的静かな潜入任務として進みますが、ヤギ飼いを逃がすかどうかの場面から空気が一変します。ここは単なる戦争アクションではなく、人間としての倫理と軍人としての判断がぶつかる重要な場面になっていました。「逃がせば危険」「でも民間人は撃てない」という葛藤がしっかり描かれていて、この映画の核になっている部分だと思います。
そして戦闘が始まってからの迫力が凄まじいです。カメラが異様なほど近距離まで寄り、銃撃音や爆発音が鳴り響き、観ている側まで山を転げ落ちているような感覚になります。岩肌へ叩きつけられながら転落していくシーンは、痛みがそのまま伝わってくるようでした。
音響演出もかなり特徴的でした。爆発や被弾のあとに耳鳴りのような音へ切り替わったり、音が割れて聞き取りづらくなったりすることで、戦場の混乱やパニックを疑似体験させる作りになっています。単純に撃ち合うだけではなく、「戦場にいる感覚」を重視しているのがよく分かりました。
また、圧倒的不利な状況でも冷静に行動し続ける隊員たちの姿はやはり格好良かったです。重傷を負っても応戦を続け、仲間を助けようとする姿には強い説得力がありました。
ただ、演出的に少し気になった部分もあります。仲間が一人ずつ倒れていく場面で、毎回スローモーションと感動的な音楽が入るため、「ここで泣いてください」という演出意図がかなり強く感じられました。同じような見せ方が続くので、少し重たく感じる部分もありました。
終盤、村へ移ってからは主人公よりも村人たちのドラマが中心になるため、一瞬「誰が誰なのか分からない」と感じる場面もありました。髭の男性たちが入り乱れるので、人物関係を整理しながら観ないと少し混乱します。
それでも、実話ベースだからこその重みは強烈でした。無線が繋がりにくいと説明されていたにも関わらず、その問題が本当に致命傷になってしまう展開や、装備不足のまま極限状況へ追い込まれていく様子には、「作戦ってこんなに綱渡りなのか」と驚かされます。
そして何より印象に残るのは、最初の“ヤギ飼いを逃がした判断”です。あの選択が正しかったのか、間違っていたのか。仲間を失ったマーカスがその後どう感じていたのか。映画はそこを断定せず、観客へ委ねているように感じました。
戦争映画としての迫力はもちろんですが、極限状況での倫理観や仲間意識も描かれていて、単なるミリタリー映画では終わらない一本でした。
☆☆☆
鑑賞日: 2014/03/27 TOHOシネマズ南大沢 2014/09/30 Blu-ray 2026/06/07 U-NEXT
| 監督 | ピーター・バーグ |
|---|---|
| 脚本 | ピーター・バーグ |
| 原作 | マーカス・ラトレル |
| 出演 | マーク・ウォールバーグ |
|---|---|
| テイラー・キッチュ | |
| エミール・ハーシュ | |
| ベン・フォスター | |
| エリック・バナ |


