●こんなお話
ニートでぶらぶらしている青年がパチンコ屋で仮釈放中の青年と出会い、その青年の家に招かれて家族と出会う。そこで惹かれあうことになる姉、そして、母親、脳こうそくで倒れた父親がいて……な話。
●感想
貧困問題や介護問題という現代的なものを背景に描かれながら、こびりつくような田舎の土着感が凄いです。
そして役者さんたちがみなさん素晴らしくて、主演の綾野剛さんのダルそうな歩き方や壁に向かって寝る姿。ヒロインの池脇千鶴さんが素晴らしいのはもう当然という安心感。菅田将暉さんの誰とでも仲良くなれるチンピラ感。カタキ役として登場する高橋和也さん。主人公たちに酷いことをするんだけど、地元の業者さんに額を書かずに領収書を渡したり、保健所の抜き打ち検査を教えたり、ある程度の人柄がわかるのがよかったです。主人公を仕事に誘う火野正平さんの不穏な空気、不気味さなんかも最高でした。、
山の仕事をしていた主人公がまた山の仕事に誘われ、海辺に住むヒロインとの間で揺れる物語。個人的によかったのは、狭い世界の話になりがちですが、主人公の妹のモノローグが入って、外の世界が同時進行であること同じ時間に別の世界があること、というのを教えてくれる構成が好きでした。
わかりやすいアクションやグイグイひっぱるサスペンスもないのに120分集中して見られる良い映画だと思いました。
けれども、主人公が山の仕事にやたらと誘われますが。なぜ、そこまで誘われるのか? 爆破のプロフェッショナルでその仕事に必要なんだ、というのを回想なりなんなのかを入れないといけないと思いました。
あとはボソボソ喋るのと方言で早口で喋るので、何話してるのかわからなくてシナリオを読んでから見てなかったら、理解できなかったです。後は作風なんでしょうが、画面が暗すぎて、役者さんの表情が何も見えずに真っ暗な画面をひたすら見つめる時間が多くて残念でした。
父親の介護の問題もこの決着でよいのかな? ヒロインが取った行動もわからなくはなくて、笑顔で朝日の中でたたずまれても困ってしまう映画でした。
☆☆☆
鑑賞日: 2014/04/20 テアトル新宿
監督 | 呉美保 |
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脚本 | 高田亮 |
原作 | 佐藤泰志 |
出演 | 綾野剛 |
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池脇千鶴 | |
菅田将暉 | |
高橋和也 | |
火野正平 | |
伊佐山ひろ子 | |
田村泰二郎 |