ドラマ【ゲーム・オブ・スローンズ 第四章:戦乱の嵐-後編-】感想:ティリオン裁判と黒の城攻防戦を描く

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●こんなお話

 七王国の争いの4シーズン目の全10話。

●感想

 レッド・ウェディングによってロブ・スタークとキャトリン・スタークが殺害され、北部を率いていたスターク家は事実上崩壊する。北の諸侯はボルトン家へ従属し、ウェスタロス全土の勢力図は大きく変化していく。キングズ・ランディングではタイウィン・ラニスターが鉄の玉座を支配し、タイレル家との同盟によって王都の安定を維持していた。ティリオン・ラニスターは政略のためサンサ・スタークと結婚させられ、ジェイミー・ラニスターは右手を失った状態で王都へ戻る。タイウィンはエダード・スタークの剣“アイス”を溶かし、新たなヴァリリア鋼の剣を二本作らせ、その一本をジェイミーへ与える。

 ジョフリー王とマージェリー・タイレルの婚礼は王都全体を巻き込んだ盛大な祝宴として行われる。しかし披露宴の最中、ジョフリーは突然苦しみ始め、その場で死亡する。サーセイは即座にティリオンを犯人と断定し拘束する。混乱の中でサンサはドントスに導かれ、船で王都を脱出する。船上で待っていたのはピーター・ベイリッシュだった。ベイリッシュは自分が逃亡計画を準備していたことを明かし、後にジョフリー毒殺にはオレナ・タイレルが関与していた事実も浮かび上がる。

 ティリオンの裁判ではメイスター・パイセル、ヴァリス、シェイらが証言台に立ち、ティリオンに不利な証言を行う。特にシェイは愛人関係を暴露したうえで、ティリオンがジョフリーを憎んでいたと証言する。裏切りを受けたティリオンは陪審を拒絶し、決闘裁判を要求する。彼の代理戦士にはドーンから来たオベリン・マーテルが名乗りを上げる。オベリンは姉エリアとその子供たちを惨殺した“マウンテン”ことグレガー・クレゲインへの復讐を目的としていた。決闘ではオベリンが俊敏な動きで優勢に立つが、最後に油断した隙を突かれて捕まり、頭部を潰され死亡する。直後にマウンテンも毒槍の毒で倒れ、ティリオンには死刑判決が下される。

 処刑前夜、ジェイミーは地下牢へ向かいティリオンを逃がす。ヴァリスの協力によってティリオンは地下通路から脱出し、父タイウィンの部屋へ向かう。そこでシェイがタイウィンの寝室にいる姿を発見し、揉み合いの末にシェイを絞殺する。その後、便所にいたタイウィンをクロスボウで射殺し、ティリオンは船で王都を離れる。

 壁の北ではジョン・スノウが黒の城へ戻り、マンス・レイダー率いる野人軍の進軍を報告する。やがて野人軍は壁の南北から同時攻撃を開始し、黒の城は大規模な戦場となる。巨大な鎌が壁を登る巨人たちを切断し、氷壁の上ではナイツウォッチと野人たちの激戦が続く。イグリットは戦闘中にジョンを見つけるが、オリーの放った矢に射抜かれて死亡する。戦闘後、ジョンは自らマンスとの交渉へ向かうが、その直後にスタニス・バラシオン軍が到着し、騎兵突撃によって野人軍を壊滅させる。マンスは捕虜となり、壁の勢力図も変わり始める。

 デナーリス・ターガリエンはミーリーンを制圧し、奴隷制度を廃止する。しかし都市統治は混乱し、元奴隷主による抵抗や治安悪化が続く。さらにドラゴンの一頭ドロゴンが羊飼いの娘を焼き殺したことで、デナーリスは制御不能になりつつあるドラゴンを危険視する。レイガルとヴィセーリオンは地下牢へ閉じ込められ、ドロゴンだけが姿を消す。加えてジョラー・モーモントの過去の密偵行為も発覚し、デナーリスはジョラーを追放する。

 谷間のアリン家ではライサ・アリンがサンサに強い嫉妬を向け、“月の扉”から突き落とそうとする。しかし直前にベイリッシュが介入し、ライサを谷底へ落下させる。その後ベイリッシュは証言を操作し、サンサにも口裏を合わせさせる。

 アリア・スタークは“ハウンド”ことサンダー・クレゲインと旅を続け、各地を転々とする。二人はブライエニーとポドリックに遭遇し、アリアの保護を巡ってハウンドとブライエニーが激突する。激しい格闘戦の末、ハウンドは崖下へ転落して重傷を負う。アリアは瀕死のハウンドを置き去りにし、“ヴァラーモルグリス”の言葉と鉄貨を使ってブレーヴォス行きの船へ乗り込む。

 北のさらに奥地では、ブラン・スタークたちが“三つ目の鴉”を探す旅を続ける。途中で亡者の襲撃を受け、ジョジェン・リードは死亡する。ブランは洞窟の奥で“三つ目の鴉”と呼ばれる老人と対面し、自分の能力について導きを受けることになる。


 第四章はシリーズの中でも特に密度が濃く、主要人物たちの運命が一気に動き出すシーズンでした。相変わらず暴力描写や性的描写は強烈ですが、それ以上に「誰が生き残るのか分からない緊張感」が作品全体を支配しています。長年登場してきた人物たちが突然退場していくため、視聴中は常に気が抜けませんでした。

 特に印象深かったのはティリオン裁判です。これまで皮肉と知性で切り抜けてきたティリオンが、家族や愛した相手から追い詰められていく展開は非常に重苦しく、オベリンとの決闘まで含めて息苦しい空気が続きます。オベリンとマウンテンの戦いはシリーズ屈指の衝撃回だったと思います。

 また、ナイツウォッチと野人軍による黒の城攻防戦は、まるで一本の戦争映画のような完成度でした。一話丸ごと戦闘に費やしながら、それぞれの兵士の立場や恐怖、覚悟まで描き切っていたのが見事です。ジョン・スノウが若き指揮官として成長していく姿も、このシーズンの大きな見どころでした。

 アリアとハウンドの旅路も非常に魅力的でした。殺伐とした世界を旅しながら、二人の間に奇妙な信頼関係が生まれていく空気が良かったですし、最後にアリアがハウンドを置き去りにする場面も、この世界らしい選択でした。ブライエニーとポドリックの旅も冒険譚として面白く、荒廃した世界を歩き続けるロードムービーのような味わいがあります。

 サンサが徐々に“守られる少女”から抜け出し、自分の立場を理解しながら行動していく変化も印象に残りました。逆にサーセイはさらに猜疑心を強め、タイウィンは最後まで冷酷な支配者として振る舞います。ラニスター家の崩壊が静かに始まっている空気も非常に良かったです。

 デナーリス編では、征服した後の“統治”の難しさがしっかり描かれていました。奴隷解放だけでは国はまとまらず、ドラゴンすら制御できないという現実が重くのしかかります。理想だけでは国を治められないという展開が、この作品らしい苦さを生んでいました。

 ここまで物語が進むと、鉄の玉座を巡る戦いそのものが本当に終着点なのか分からなくなってきます。各地で新たな勢力が動き、北では“人間同士の戦い”とは別の脅威も近づいてくる。登場人物たちの行く末が気になり、一気に見進めてしまうシーズンでした。

☆☆☆☆☆

鑑賞日: 2016/05/17 Blu-ray 2026/05/28 U-NEXT

原作ジョージ・R・R・マーティン
製作総指揮デヴィッド・ベニオフ

出演ピーター・ディンクレイジ
エミリア・クラーク
ナタリー・ドーマー
キット・ハリントン
レナ・ヘディ
ニコライ・コスター=ワルドウ
ジャック・グリーソン
チャールズ・ダンス
メイジー・ウィリアムズ
ソフィー・ターナー
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