映画【サユリ(2024)】感想(ネタバレ):家族を襲う怪異と祖母の反撃を描く異色ホラー

House of Sayuri
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●こんなお話

 一軒家に引っ越して来たらそこの幽霊に襲われて生きる力で対抗する話。

●感想

 神木家は、父・昭雄が長年思い描いてきた念願のマイホームとして、海の見える郊外に建つ三階建ての中古一軒家へと引っ越してくる。家族は、高校生の長女・径子、中学三年生の長男・則雄、小学五年生で怖がりな弟・俊、明るく家庭を支える母・正子、穏やかな祖父・章造、そして認知症の兆しが見え始めている祖母・春枝という七人家族だ。新しい家での生活に期待を膨らませる一方で、引っ越し直後から春枝の不審な言動や、家全体に漂う妙な気配に、則雄は言い知れぬ違和感を覚え始める。

 学校では、霊感を持つと噂される同級生・住田奈緒から突然「気をつけて」と意味深な言葉をかけられ、不安はさらに強まっていく。やがて家の中では、説明のつかない現象が次々と起こり始め、些細な異変は次第に暴力的な怪異へと変貌していく。弟への不可解な暴力、父の突然死、祖父の急死と、不幸は容赦なく家族を襲い、神木家は急速に崩壊へと向かっていく。

 家族が一人、また一人と命を奪われ、弟の死と姉の自殺をきっかけに、則雄はこの家に「サユリ」と呼ばれる少女の霊が棲みついていることを知る。その正体は、この家に強い恨みを残した怨霊であり、家族を狙う元凶であると悟る。

 恐怖に押し潰されそうになる則雄の前に、これまで認知症で正気を失っていたはずの春枝が、突如として正気を取り戻した姿で現れる。春枝は、家族を奪った“アレ”を地獄へ送るために立ち上がると宣言し、孫と共に立ち向かう決意を固める。春枝は「生きる力」を武器に、笑い、体を動かし、日常の活力そのものをもって怪異に対抗していく。

 近所の人が異変を察知して霊媒師を呼ぶものの、春枝はこれを拒否し、独自の方法で戦いを続ける。しかし春枝が姿を消し、則雄は一人で恐怖と向き合うことになる。絶望に沈みかけたその時、奈緒が助けに現れるが、彼女もまたサユリに連れ去られてしまう。

 事態を収束させるため、春枝はサユリの家族を拉致し、元凶であるサユリの前に差し出す。そこで、この家にかけられた呪いの源となるサユリの過去と怨念が徐々に明らかになっていく。しかし復讐心に取り憑かれたサユリは、それでもなお暴走を止めない。則雄は生きる力の象徴でもある奈緒への想いを告白し、その強い感情によって奈緒を奪還する。

 戦いの果てに春枝は再び元の姿へと戻り、家は役目を終える。神木家は新たな場所で、新しい生活へと歩き出すことになっておしまい。


 序盤は純粋なホラーとしてしっかり怖く、不穏な空気が丁寧に積み重ねられており、非常に引き込まれました。それが中盤以降、一気にジャンルが切り替わるような展開になる点が独特で、予想外の面白さがあったと感じます。

 特に根岸季衣さん演じる春枝の存在感は圧倒的で、登場するだけで画面の空気を支配するような強さがあり、やはり唯一無二のキャラクターだと思いました。恐怖と可笑しさ、そして人間的な強さを同時に表現できる点が、この作品の大きな魅力になっていると思いました。

 一方で、サユリの悲しい過去が明らかになるくだりは、正直なところ少し説明的で、物語の勢いが削がれた印象も受けました。その後の救済の流れも、どこか既視感があり、やや単純に感じられる部分は否めません。

 それでも全体を通して、しっかり怖がらせつつ、どこか笑顔にもなれる不思議なバランスが保たれており、単なるホラーに収まらない魅力を持った作品だと思います。怖さと可笑しさが同居する独特の後味が、観終わった後も印象に残りました。

☆☆☆

鑑賞日:2025/12/17 DVD

監督白石晃士 
脚本安里真里 
白石晃士 
原作押切蓮介
出演南出凌嘉 
根岸季衣 
近藤華 
梶原善 
占部房子 
きたろう 
森田想 
猪股怜生 
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