●こんなお話
子どものときから念じるだけで発火させる能力パイロキネシスの持ち主の女性が、大切な妹分を殺されたので復讐しようとする話。
●感想
青木淳子は、他人や物体を念じるだけで発火させる能力を幼少期から持っている。幼いころ、感情が高ぶった際に人間を焼いてしまった経験があり、母から「怒ってはいけない」「能力を使ってはいけない」と厳しく言い聞かされて育った。そのため淳子は自らの力を隠し、都内の会社で事務職として働きながら目立たない生活を送っている。
同じ職場で働く多田一樹に淡い想いを抱きながら、穏やかな日常を過ごしていたが、その平穏は突然崩れる。多田の妹が、高校生グループによる通り魔的な暴行事件に巻き込まれ死亡する。加害者たちは未成年であることや家庭の権力によって不起訴処分となり、事件は事実上闇に葬られる。
怒りと無力感に打ちひしがれた多田は復讐を口にし、淳子に心情を打ち明ける。淳子は迷いながらも自らの能力を多田に明かす。最初は制止していた多田も、加害者の無反省な態度を目の当たりにし、淳子と共に犯人を追うことになる。
淳子は犯行グループの一人・木暮昌樹を呼び出し、念力で体内から発火させる。木暮は炎に包まれ、人目のある場所で焼死しようとするが多田に制止されて中止。周囲は突然の発火に騒然となる。
警視庁の石津ちか子刑事と牧原康明は、被害者たちの共通点と異常な焼死状況に疑問を抱き、淳子の存在に行き着く。さらに、淳子の前には同じ能力を持つ者たちが現れる。木戸浩一と名乗る男は、能力者による制裁組織「ガーディアン」の存在を明かし、淳子に加わるよう迫る。
一方、能力をコピーする特異な力を持つ少女・倉田かおりも淳子に接触する。かおりは淳子の発火能力を模倣し、炎を操る姿を見せる。能力者同士の緊張が高まる中、警察内部の幹部・長谷川が裏で能力者を利用しようとしていることが判明する。
長谷川はガーディアンの黒幕として淳子を危険視し、抹殺を命じる。木戸は組織の一員としてかおりを人質に取り、淳子を誘き出す。遊園地での対峙では銃撃が飛び交い、木暮も再び姿を現す。淳子は能力を爆発させ、炎で包む。
激しい炎上の中、淳子自身も全身を炎に包まれ姿を消す。事件後、長谷川から事件の報告されるが、長谷川が突然燃え上がって、淳子が生存している可能性が示唆されておしまい。
念力によって人間が内側から発火する描写は非常に迫力がありました。街中で突然炎が立ち上るショットや、クライマックスで炎が渦を巻くように広がる場面は視覚的なインパクトが強く、超能力の危険性と魅力を強烈に印象づけています。爆破や連続発火が重なる終盤は、映像面での高揚感が大きく、金子修介監督らしい派手な演出が際立っていました。
一方で、能力者組織ガーディアンの全体像や目的が十分に描かれているとは感じにくく、物語の軸が分散してしまった印象も受けました。黒幕の存在や内部構造が具体的に提示される場面が限られているため、対立構図の輪郭がやや曖昧になっていた部分は惜しく思います。
多田一樹の復讐心も物語序盤では強く打ち出されますが、後半になるにつれて超能力者同士の抗争へと焦点が移り、感情の流れがやや薄れてしまったように感じました。彼の内面がさらに掘り下げられていれば、淳子との関係性もより印象深いものになったはずです。
また、状況説明を台詞で補う場面が多く、刑事の語りや能力者の独白が続く部分では緊張感が途切れがちでした。設定は魅力的なだけに、情報提示の方法に工夫があればさらに没入感が高まったように思います。
それでも、炎を操るというビジュアルの強さと、宮部みゆき原作ならではの社会性を組み合わせた意欲作であることは確かで、2000年前後の邦画サスペンスの中でも個性的な一本でした。
☆☆☆
鑑賞日:2013/10/14 DVD 2026/02/22 DVD
| 監督 | 金子修介 |
|---|---|
| 視覚効果 | 小川利弘 |
| 脚色 | 山田耕大 |
| 横谷昌宏 | |
| 金子修介 | |
| 原作 | 宮部みゆき |
| 出演 | 矢田亜希子 |
|---|---|
| 伊藤英明 | |
| 桃井かおり | |
| 原田龍二 | |
| 長澤まさみ | |
| 吉沢悠 | |
| 徳山秀典 | |
| 永島敏行 | |
| 石橋蓮司 |


