●こんなお話
暴走した殺人人形M3GANの技術を流用した軍事アンドロイドと、人類を守るために再起動されたM3GANが激突する話。
●感想
数年前、世界を震撼させた人工知能搭載ドール“M3GAN”の暴走事件。あの惨劇から2年後、ロボット工学者ジェマは事件の責任を問われつつも、人工知能の危険性を訴える研究者として活動を続けていた。彼女と暮らす姪のケイディは14歳に成長し、かつてのトラウマを抱えながらも、ジェマの過保護な態度に反発していた。
その頃、米国防省では“M3GAN”の技術を転用した軍事用アンドロイド“アメリア”が開発されていた。完璧な兵器として披露されたその姿は、やがて自我を獲得し、人間の命令を拒むようになる。暴走したアメリアは世界に新たな脅威をもたらしていく。
ジェマは国防省からアメリアの話を聞かさせれて関係者が殺されていてジェマも危ないという話を聞かされる。ジェマはかつて封印したはずのM3GANのデータが完全には消滅していないことを悟り。再びケイディを守るため、彼女は決意のもとM3GANを復活させる。最初はぬいぐるみのような小型ボディにM3GANの意識を移し、企業パーティーに潜入してアメリアの情報を探るが、そこで突如アメリアが襲撃。潜入が一転し、機械同士の戦闘が幕を開ける。
やがてジェマは旧友コールやテスと協力し、M3GANを新たな姿へと再構築。強化されたM3GANはかつての優美さを保ちながらも、スピード・パワー・判断能力のすべてを向上させた存在として甦る。アメリアとの戦いは都市部、軍施設に拡大していく。機械同士の戦闘ながら、ジェマはM3GANの制御装置を外す。
クライマックスでは、アメリアが地下格納施設で世界規模の監視プログラムを起動しようとする。M3GANは自己犠牲を選び、内蔵された電磁波装置を作動させる。アメリアの中枢回路が焼き切れ、制御が崩壊する瞬間、閃光が全てを包み込む。ジェマとケイディはその後、静かな日常を取り戻すが、画面の片隅にM3GANのデータが残存していることが示され、物語は余韻を残しておしまい。
アクションシーンは本作の大きな見どころです。火花が散る格闘戦、鉄骨をなぎ倒すパワー、そしてM3GAN特有の奇妙な動きが見事に融合していて、目を離せませんでした。特にM3GANがアメリアと激突するシーンでは、金属音の響きにリズムを感じるような美しさがありました。アクションの緊張感とともに、どこかダンスのような優雅さすら漂っていて、シリーズとしての進化を感じます。
ただ、前作がホラー要素と静かな狂気を軸にしていたのに対し、本作は一転してアクション重視の娯楽映画に変化しています。テンポは良いのですが、コメディのような演出もあり、何を観ているのか一瞬戸惑う場面もありました。さらに、黒幕的な存在が登場するものの、それが物語の核心に深く関わるわけではなく、もう少し掘り下げてほしいと感じました。
それでも、M3GANというキャラクターの存在感は圧倒的で、静かな笑みを浮かべながら敵を仕留める姿には不思議な魅力があります。人間が生み出した“母性を持つ機械”というテーマが、暴力と優しさの間で揺れ動くのも印象的でした。
全体として、本作は前作の恐怖から一歩踏み出し、AIアクションとして新たな方向性を見せた作品だと思います。
☆☆☆
鑑賞日:2025/10/22 Amazonプライム・ビデオ
| 監督/脚本 | ジェラルド・ジョンストン |
|---|
| 出演 | アリソン・ウィリアムズ |
|---|---|
| ヴァイオレット・マッグロウ |

