ドラマ【ウォーキング・デッド:デッド・シティ シーズン2】感想(ネタバレ):マギーとニーガンが交錯する廃都の物語

The Walking Dead Dead City Season 2
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●こんなお話

 終末後のマンハッタンで、息子の救出を目指す母と、過去の償いと支配構造の頂点を目指す元囚人の話

●感想

 舞台は荒廃したマンハッタン。そこでは“ニューバビロン連邦”という中央集権的勢力と、“ブラージ”というギャング組織が二大勢力として都市を分断していた。 

 マギーは息子を救うため、ニューバビロンの準軍事的な作戦に参加する。しかしその任務の裏には、国家再建の名を借りた資源確保の思惑が潜んでおり、メタン資源をめぐる争奪戦が始まる。ジニーとともに遠征隊に加わったマギーは、海上からの侵攻作戦でゾンビ爆弾の攻撃を受け、仲間を失いながらも辛うじて生き延びる。その混乱の中で明らかになるのは、息子ハーシェルがギャング組織“クロアート”と内通していたという衝撃的な事実だった。母子の絆が崩れ、マギーは息子の心がすでに自分の手を離れていることを痛感する。

 一方で、元囚人でありながらも生き残りを賭けて戦ってきたニーガンは、行政官ダマによって新たな政治工作に巻き込まれていく。彼には、三つの派閥をまとめ上げるという不可能に近い役割が課せられていた。かつての盟友ブルーゲルとの対立、保安官アームストロングとの緊迫した駆け引き。ニーガンは再び権力の渦中に立たされ、自身の過去と向き合いながらも、どこか破滅的な運命を受け入れるように動いていく。

 中盤以降、物語はマギーとニーガン、そしてダマの三者の思惑が絡み合う構成へと変化していく。ダマの策略は巧妙で、マギーの息子ハーシェルを人質にすることで、母親としての彼女の心を追い詰めていく。ハーシェルもまた、母親に対して壊れた信頼を抱きつつ、新たな支配者としての役割を演じさせられていく。愛と支配、過去と現在が交錯する中で、マギーとニーガンの関係は再び複雑に揺れ動く。

 クライマックスでは、ニーガンがブルーゲルと戦い、メタンガスによって彼を白熱死させる。その後、アームストロングとの激突が続き、マギーがついにニーガンに刃を向ける場面へと至る。しかし、長年の因縁を経ても彼を殺すことができない。

 最終的に、マギー、ニーガン、そしてアームストロングは、互いの利害を超えてニューバビロン軍に対抗する選択をする。新たな戦いへ向けて歩き出す姿が描かれる。物語は完全な終着を迎えず、次なるシーズンへの不穏な予兆を残したまま終わり。

 映像としては、マンハッタンという閉ざされた空間を活かした構図が印象的で、朽ちた高層ビルや廃墟の中を縫うように動くカメラが、終末世界の息苦しさを巧みに伝えていると思いました。クマとの戦いのシーンも一種のカタルシスとして見せ場としてよかったです。

 ただ、全体としては勢力図の複雑さや登場人物の関係性がやや整理されておらず、ストーリーの焦点が定まりにくい印象もありました。マギーとニーガンが刺し合うような関係から、すぐに共闘へと移る展開も唐突で、感情の振れ幅をもう少し丁寧に描いてほしいと感じる部分も。それでも、この作品が描く“赦せない過去と共に生きる者たち”というテーマには、一貫した重みを感じ。終末を舞台にしても、登場人物たちはどこまでも人間臭く、そこにシリーズの魅力が息づいている第2弾だと思いました。

☆☆

鑑賞日:2025/10/15 U-NEXT

監督マイケル・E・サトラゼミス
エドワード・オルネラス
ローレン・コーハン
脚本イーライ・ホルネ
ブレンナ・カウフ
キース・スタンキェヴィッチ
ゾーイ・ヴィターレ
出演ローレン・コーハン
ジェフリー・ディーン・モーガン
ガイウス・チャールズ
ジェリコ・イヴァネク
マヒナ・ナポレオン
ローガン・キム
リサ・エメリー
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