●こんなお話
きさらぎ駅からサバイブした人が自分を救ってくれた人を助けるために再びきさらぎ駅に戻る話。
●感想
前作で異世界「きさらぎ駅」から奇跡的に帰還した宮崎明日香。しかし彼女が戻った世界は、すでに20年の時を経ており、かつての生活は失われていた。周囲からは奇異の目で見られ、社会からは受け入れられず、孤立した日々を送ることになる。病床に伏す母に寄り添いながらも、周囲の偏見により心安らぐ場所はなく、帰還者仲間たちも同じように苦しんでいた。ある者は自ら命を絶ち、ある者は心を病み、ある者は家庭を失い、帰還が必ずしも幸せを意味しないことが明らかにされる。
そんな中、ドキュメンタリーディレクターの角中瞳と出会う。彼女の取材によって明日香は、きさらぎ駅での体験を世間に語る機会を得る。しかし放送は中止となり、番組はお蔵入り。希望は打ち砕かれ、再び孤独に取り残される。明日香は「母をお願いします」と言葉を残し、再びきさらぎ駅へと向かう決意を固める。電車に揺られ、異世界への扉は再び開かれる。
駅に降り立った明日香は、そこで以前と変わらぬ姿の堤春奈と再会する。しかし春奈には記憶がなく、まるで初めて出会ったかのように接してくる。どうやら駅の中では記憶がリセットされる仕組みが存在するらしい。やがて「きさらぎ駅からの脱出」が再び始まる。参加者たちは恐怖にさらされ、命を落とす者も出るが、全滅しても次の“周回”が始まり、明日香だけが記憶を引き継ぎ挑戦を繰り返すことになる。経験者である明日香は、進行役のように仲間を導き、攻略の要となる。
やがて現れる「光の扉」。混乱の中で明日香は春奈を守ろうと必死に奮闘する。扉の前に現れる巨大な目玉に襲われ何度も全滅を繰り返しながらも、高所にいると襲われないことを突き止めるが、春奈を救い出すことに成功する。しかし救いの出口に見えるが、実際には偽物でありまた電車に戻ってしまう。明日香は春奈を電車に残すという選択をする。すると春奈は元の世界へ。
物語のラストでは、ついに明日香のドキュメンタリーが放送される。放送をきっかけに多くの人々が「きさらぎ駅」への入口を知ることになり、駅の存在が拡散していく。やがてさらなる人々がきさらぎ駅に引き寄せられていく様子が描かれ、物語は不穏な広がりを残しておしまい。
前作と比べるとコメディ色が強まり、参加者たちが自分だけ助かろうとする姿や、あっけなく危機を突破していく展開が楽しく、緊張感の中に笑える瞬間が散りばめられていました。基本的に登場人物が利己的に動くことで予想外の行動が続き、その度にクスリと笑わされました。また90分という尺のコンパクトさもあり、テンポよく観られるのも魅力的だったと思います。前作より軽やかに仕上げられた異世界ホラーとして、肩肘張らず楽しめる作品でした。
☆☆☆
鑑賞日:2025/09/14 Amazonプライム・ビデオ
監督 | 永江二朗 |
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脚本 | 宮本武史 |
出演 | 本田望結 |
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芹澤興人 | |
瀧七海 | |
寺坂頼我 | |
大川泰雅 | |
柴田明良 | |
中島淳子 | |
奥菜恵 | |
佐藤江梨子 | |
恒松祐里 |