●こんなお話
フィスクがニューヨーク市長になって奥さんと悪事を働くのでデアデビルが頑張る話。
●感想
盲目の弁護士マット・マードックは、自警団としての活動をやめ、長年の相棒フォギーとの事務所も解散していた。静かに暮らすマットは、美術館勤務の元検事クリステン・マクダフィーと共に新しい法律事務所を立ち上げ、セラピストのヒーザーとも落ち着いた交際を始める。穏やかな日々が訪れたかに見えたが、その平穏を打ち破る存在が現れる。かつてニューヨークを裏社会で支配してきたウィルソン・フィスクが、市長選に名乗りを上げたのだ。
フィスクはかつての犯罪組織のボスから政治家として急速に浮上し、やがて市長に当選。街を牛耳ろうとする姿は、法律を武器に正義を守ろうとするマットたちを再び戦いの渦へと引き込んでいく。そんな中、仲間の警官チェリーの引退祝いで酒場に集まったマットとフォギー、カレン。だがそこで凶悪なスナイパーに襲撃され、フォギーは命を落とす。犯人はかつての宿敵、元FBI捜査官“デックス”ことポインデクスターだった。マットは仮面をかぶり彼を追い詰めるが、代償として大きな傷を負う。
1年後、デアデビルとしての活動を封じ、弁護士として歩むマット。その一方でフィスクは市長としての活動をしつつ部下を支配していって、市民や警察と対立を深めていく。シリアルキラーのミューズとの対峙や、フィスクが警察内部にまで伸ばした権力の網により、マットの日常はじわじわと侵食されていく。さらにフィスクは妻バネッサとの関係がうまくいかず、愛人を監禁し苛立ちをぶつける姿も描かれる。
やがてマットはフォギー殺しの背後にバネッサの存在があるのではと推測し、フィスクとの全面対決を決意。特殊部隊を使いマットを追い詰めるフィスクの前に現れるのは、かつての宿敵である“パニッシャー”ことフランク・キャスル。互いに背中を預け合い、怒涛のバトルを繰り広げる姿は胸を熱くさせる。そして物語はフィスクがニューヨークに戒厳令を敷き、赤い仮面を再び身につけたマットが「俺はまだ戦う」と誓うところで終わる。
このシリーズの特徴である痛みがダイレクトに伝わる肉弾戦の迫力が素晴らしく、アクションの重さが見ているこちらに届いてくることでした。特に最終話でのパニッシャーとの共闘は圧巻で、シリーズの醍醐味を存分に味わえる展開だったと思います。またフィスクが思い通りにいかないと感情を爆発させる場面も、彼らしい強烈なキャラクター性を再確認できて印象的でした。
一方で、フィスクが妻との関係のもつれから愛人を監禁するくだりは、彼の小物感を際立たせてしまったように感じます。さらに「ここで終わるのか」と驚くラストの切り方もあり、余韻がやや急ぎ足に見えた部分は惜しいところです。それでも全体として、街を守ろうとする者と支配しようとする者、そのせめぎ合いを描いた力強いシーズンであったことは確かで、アクションと人間ドラマの両面から楽しめる作品になっていたと思います。
☆☆☆
鑑賞日:2025/08/21 Disney+
監督 | チャン・ロンジー |
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アーロン・ムーアヘッド | |
脚本 | ダリオ・スカルダパン |
出演 | チャーリー・コックス |
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ヴィンセント・ドノフリオ | |
エルデン・ヘンソン | |
デボラ・アン・ウォール | |
アイェレット・ゾラー | |
ジョン・バーンサル |