●こんなお話
精神科医の主人公が婚約者が失踪して大学時代の元カノとの思い出に浸る話。
●感想
物語は四月、都内の大学病院で働く精神科医の主人公から始まる。彼は婚約者の弥生と結婚の準備を進めていた。そんなある日、かつての恋人である春からウユニ塩湖からの手紙が届く。そこには十年前の初恋の記憶や二人で過ごした時間が綴られており、さらにプラハやアイスランドといった世界各地からも手紙が送られてくる。
主人公が目覚めると、弥生の姿は忽然と消えていた。残されていたのは「愛を終わらせない方法とはなんでしょう?」という謎めいた問いかけだった。主人公は弥生の行方を追うが、その過程で春の存在が次第に浮かび上がっていく。大学時代の出会いから「雨のにおい」「街の熱気」とか目に見えないものを撮りたいと語る春とか海外旅行計画からの挫折とかが描かれる。春は重い病を抱えていたことが示され、弥生が彼女に会いに行っていた事実が後に判明する。春の写真には弥生が写っており、主人公が知らぬ間に二人がつながっていたことが明らかになる。
やがて春がこの世を去ったことを主人公は知り、春の母から遺品のカメラを受け取る。そして彼は弥生を探し続け、ついに波打ち際で涙ながらに抱き合い再会を果たす。二人は動物にまつわる話を交わしながら、静かに物語は終わる。
映像面では、ウユニ塩湖やヨーロッパを中心とした海外の美しい景観が丁寧に切り取られていて、画の華やかさに魅了されました。観光地の光や空気感をそのまま封じ込めたような映像は、この作品の大きな見どころだったと思います。
一方で、物語の核心である人物の感情の動きについては理解が難しく、主人公や弥生がどのように悩み、どう答えを見つけたのかが伝わりにくく感じられました。長澤まさみさん演じる弥生がなぜ突然失踪し、どうして再会に至ったのかが自分には見ていて飲み込みにくく曖昧で、観客として感情を重ねることが難しかったです。また、竹野内豊さんが父親役として、娘の海外旅行に反対する場面は強い感情が込められていましたが、写真の暗室で涙ながらに訴える描写はかなり強烈で独特の印象を残しました。
それでも、役者陣の存在感や、世界各地の映像がもたらす旅行記のような感覚は確かに作品の魅力になっており、スクリーンを通じて異国の空気を体験できる映画であったと思います。。
☆☆
鑑賞日:2025/10/04 Amazonプライム・ビデオ
監督 | 山田智和 |
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脚本 | 木戸雄一郎 |
山田智和 | |
川村元気 | |
原作 | 川村元気 |
出演 | 佐藤健 |
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長澤まさみ | |
森七菜 | |
仲野太賀 | |
中島歩 | |
河合優実 | |
ともさかりえ | |
竹野内豊 |