●こんなお話
購入した家のプールで恐怖体験する話。
●感想
主人公のレイ・ウォラーはかつてメジャーリーグで活躍した野球選手だが、進行性の病気により現役を引退。療養のために妻イヴ、娘イジー、息子エリオットと郊外の一軒家に引っ越します。裏庭にはプールがあり、これが子供たちの遊び場所になるとのことと、レイのリハビリにもなると思って購入 。
プールには過去の暗い記憶があり、かつて、幼い少女レベッカが夜中におもちゃの船を取ろうとしてプールに引き込まれ、行方不明になった事件があったと知らされます 。
最初はレイの容体は水中療法で少しずつ良くなり始めます。しかし家族には奇妙な現象が続出。プールの排水フィルターを掃除中、レイは硫化した水に触れて手を挫き、泥水が噴き出します。それでも彼は無視して泳ぎを続行します。
そのうち、猫が忽然と消え、首輪だけがプールに浮かんだり。子どもたちも一人ずつ水面下から何かに見られているような感覚を抱え始めます。
パーティーを開いたある日、レイがプールで何かにとらわれたような行動を取って近所の子どもを巻き添えに溺れそうになる。まるで病気による症状のように見えるけど、徐々に別の何かに操られていることが明らかになります。
イヴはレベッカの母ルーシーと接触し、「癒しの泉」にまつわる血なまぐさい秘密を知ります。過去にも犠牲を伴うカルトのような儀式が行われていたことを聞き、レイの回復が代償を伴っていたと悟ります。
ついにはエリオットがプールの中に閉じ込められ、イヴは必死に息子を救いにプールの中へ。イジーはバットで豹変して襲ってくる父親を殴って父の意識を取り戻させます。レイは最終的に自ら犠牲になれば怪異を止めるためとなって、プールの中へ泳ぎ去って命を絶ちます。
残された家族は、再び同じ悲劇が起こらぬようプールを埋める決断。映画は、レイの犠牲と家族の選択を静かに映し出しながらおしまい。
最初は幸せな家族が何かおかしなことに憑りつかれていく雰囲気があってよかったと思います。病気で引退した元プロ野球選手が郊外の家に引っ越してきて、裏庭にあったプールが心と身体を癒やす空間になるのかと思いきや、何かがおかしい、という展開に引き込まれました。子どもが何かに気づいたり、猫が消えたりと、じわじわとした違和感はありました。
でもだんだんと怪異、恐怖体験がなかなかおそってこないので退屈に感じてしまいました。人がプールに吸い込まれる演出も何度かあるものの、似たような描写の繰り返しで、「また水の中に何かいるんだろうな」と先が読めてしまうようになってしまって残念でした。
クライマックスの恐怖描写も、普通の異形の人間が襲ってくるような形になってしまって、これまでの超常的な不気味さが急に雑になった印象で、あまり面白さを感じられませんでした。家族の再生の物語としてもあまり盛り上がりがなく、全体的にのっぺりとした感触でした。
プールという日常的な空間をホラーに落とし込むアイデア自体は面白いと思いましたが、それを活かしきれていない印象でした。演出や編集も静かで淡々としていたので、ホラーとしての緊迫感も薄く、最後まであまり心が動かされませんでした。
☆☆
鑑賞日:2025/08/02 Amazonプライム・ビデオ
監督 | ブライス・マクガイア |
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脚本 | ブライス・マクガイア |
出演 | ワイアット・ラッセル |
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ケリー・コンドン | |
アメリ・ホーファーレ | |
ギャヴィン・ウォーレン | |
ジョディ・ロン | |
ナンシー・レネハン | |
エディ・マルティネス | |
イライジャ・ロバーツ | |
ラヌマ・パンサキー |