映画【ロッキー4 炎の友情】感想(ネタバレ):友情と闘志を描いた熱き90分のボクシングドラマ

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●こんなお話

 親友がボクシングの試合でソ連の選手に殺されたのでリベンジマッチする話。 

●感想

 物語の始まりは、ロッキーのかつての宿敵であり、今では親友となったアポロ・クリードが、ソビエトから来た謎のボクサー、イワン・ドラゴとのエキシビションマッチを行う場面からでした。かつての栄光を胸に、星条旗を身にまといながら華やかに入場するアポロ。そこには、かつてのチャンピオンとしての自負と誇りがあり、彼なりのアメリカ精神の象徴としての振る舞いが映っていました。しかし、試合が始まると、事態は一変します。軽いスパーリング程度の試合になると思われていたはずが、ドラゴの桁外れなパワーによってアポロは防戦一方に追い込まれ、やがてリングの上で倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまいます。

 その姿を間近で見ていたロッキーは、胸の内に怒りと悲しみを抱えながら、友人の死に報いるべく、ドラゴとの正式な対戦を申し込みます。米国内では認可されない試合であるため、舞台はソ連。時は冷戦真っ只中、政治的な緊張感も高まる中での挑戦となります。ロッキーは家族や世間の反対を押し切って、ソ連へと渡ります。

 雪に覆われた大地、人気のない森や農村の中でロッキーが行うトレーニングは、薪を割ったり、そりに岩を積んで雪道を走ったり、山の頂まで駆け上がったりと、まさに自然との対話のような内容でした。対するドラゴは、徹底管理された科学施設の中、心拍数やパンチ力を数値化し、専属チームによるサポートのもとでトレーニングに励んでいきます。さらに、ドーピングを示唆するような描写もあり、両者のトレーニング方法は極端なまでに対照的に描かれます。この演出は非常にわかりやすく、誰がどう戦おうとしているのかを一目で理解できるようになっていました。

 試合当日。ロッキーはソ連の観衆の前に立ちます。始めこそアウェーの空気の中、ドラゴの圧倒的な攻撃にさらされるロッキーですが、徐々に彼のタフネスと不屈の闘志が観客の心を動かしていきます。冷たい視線が、いつしか声援に変わっていく。最終ラウンド、ボロボロになりながらもロッキーは立ち上がり続け、ついにドラゴをノックアウト。試合後には、「人は変われる」とロッキーが語る場面があり、そこにはアメリカとソ連という枠を超えた人間同士の対話が描かれていたように思います。

 話の筋は極めて明快で、ライバルの死をきっかけに復讐戦へ挑むというストレートな構造です。そのため、深い物語や複雑なドラマ性を期待すると、やや物足りなさを感じる方もいるかもしれません。しかし、その代わりにこの作品が持つエンターテインメント性の高さは特筆すべきものがありました。

 音楽と編集によって盛り上がるトレーニング・モンタージュや、長尺の入場シーンなど、見ているだけでテンションが上がる演出が満載です。特に、ロッキーが自然の中で黙々と汗を流す姿には、どこか神聖さすら感じさせるものがありました。ドラゴの冷徹な科学トレーニングとの対比も、視覚的な面白さがあり、最後の戦いに向けて両者の準備がしっかりと積み重ねられていると感じました。

 一方で、クライマックスの試合そのものは、物語全体の盛り上がりに対してやや淡白に終わってしまった印象も残りました。打ち合いの迫力はあるものの、技術や心理戦といった側面はあまり描かれず、勢いと根性で押し切るような決着でした。もう少し時間をかけて駆け引きや意外性を描いてほしかったという思いもあります。

 とはいえ、全体としては90分という短い時間の中に、友情、決意、苦悩、勝利といったテーマを凝縮して描いた作品でした。あまり深く考えずに楽しめる、純粋なエンターテインメント映画として、多くの人に支持されている理由もよく分かる内容でした。

☆☆☆

鑑賞日: 2018/12/05 Amazonプライム・ビデオ 2025/08/04 Amazonプライム・ビデオ

監督シルベスター・スタローン 
脚本シルベスター・スタローン 
出演シルベスター・スタローン 
タリア・シャイア 
バート・ヤング 
カール・ウィザース 
ブリジット・ニールセン 
ドルフ・ラングレン 

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