●こんなお話
マイナーリーグの選手たちが頑張ってメジャーリーグのチームと戦う話。
●感想
ベテラン投手のガス・キャントレルは、マイナーリーグの試合で老獪なトリックプレーを用いたことで退場処分を受ける。年齢による衰えを自覚し始めていたガスの前に現れたのは、かつてクリーブランド・インディアンスで三塁手として活躍したロジャー・ドーンだった。現在はミネソタ・ツインズのオーナーとなっているドーンは、傘下AAAチーム「バズ」の監督就任をガスへ依頼する。最初は気乗りしなかったガスだったが、恋人マギーの後押しもあり、その申し出を受け入れる。
バズはリーグ屈指の弱小チームであり、選手たちも一筋縄ではいかない面々ばかりだった。かつての仲間であるルーブ・ベイカーやペドロ・セラーノ、日本人選手タカ・タナカも加わるが、チームとしてのまとまりは皆無に等しい。さらに、元バレエダンサーのランス・ペレ、豪快な長距離砲ビリー・“ダウンタウン”・アンダーソン、超スローボールを武器にするドク・ウィンドゲートなど、個性的な選手が集結していた。
ガスは勝利だけを求めるのではなく、選手たちの長所と短所を見極めながら、一人ひとりを成長させようとする。守備や走塁の基礎を叩き込み、精神面の弱さとも向き合いながらチーム作りを進めていく。やがて選手たちは少しずつ信頼関係を築き始め、バラバラだった集団はひとつのチームへと変わっていく。
そんな中、ガスはツインズの監督レナード・ハフと対立する。エリート意識の強いハフはマイナーリーグ出身のガスを見下しており、両者は激しい口論の末にマイナー対メジャーの親善試合を行うことになる。
誰もがツインズの圧勝を予想していたが、バズは予想外の粘りを見せる。選手たちは持てる力を発揮し、試合終盤には同点へ追いつく。しかし敗北を恐れたハフは球場の照明を消灯させて試合を打ち切りにし、勝負は引き分け扱いとなる。結果こそ引き分けだったが、世間の注目を集めたのはバズの健闘だった。
その後、才能を評価されたダウンタウンはメジャー昇格を果たす。しかしガスは時期尚早だと考えていた。ダウンタウンは忠告を聞かずにツインズへ移籍するが、メジャーの壁は高く、思うような結果を残せない。ホームランばかりを狙う単調な打撃は通用せず、自信を失って再びバズへ戻される。
ガスはダウンタウンを責めることなく迎え入れ、状況に応じた打撃やチームプレーの重要性を教える。ダウンタウンも次第に考え方を改め、チームのためにプレーする選手へと成長していく。
シーズン終盤、バズは快進撃を続けて地区優勝を達成する。そしてガスは再びハフへ正式な再戦を申し込む。もしツインズが勝てばガスは年俸を譲り、バズが勝てばガスがツインズ監督に就任するという条件付きだった。
再戦当日、序盤はツインズが圧倒的な力を見せつけ、大差をつける。しかしバズは最後まで諦めない。選手たちはこれまで学んできたことを実践しながら反撃を開始する。終盤にはダウンタウンが勝負強い打撃を見せ、試合の流れを引き寄せる。そして土壇場で劇的な逆転劇を演じ、バズはメジャー球団相手に勝利を収める。
敗北したハフは約束通り監督の座を譲ることになるが、ガスはツインズ監督就任を辞退する。ガスはバズに残り、選手たちとともに新たな未来へ進むことを選んでおしまい。
落ち目になったベテラン投手が、今度は指導者として再出発するという王道のスポーツドラマでありながら、本作はメジャーリーグではなくマイナーリーグを舞台にしている点が非常に面白かったです。華やかなスター選手たちが集まる世界ではなく、いつメジャーへ上がれるかわからない選手たちが泥臭く戦う姿に焦点を当てているため、シリーズの中でも独特の味わいがありました。
主人公ガスの魅力は、選手たちを怒鳴りつけて変えるのではなく、それぞれの個性を理解しながら導いていくところだと思いました。仲が悪い選手同士をまとめたり、自信を失った若手を励ましたり、才能はあるのに空回りしている選手へ適切な助言を与えたりと、監督としての成長も丁寧に描かれていました。
また、ペドロ・セラーノやタカ・タナカといったシリーズおなじみの顔ぶりが再登場するのも嬉しいポイントでした。彼らが若手たちを支えながらチームに溶け込んでいく姿には、シリーズファンとして嬉しかったです。
特に印象的だったのは、期待の若手ダウンタウンの成長物語でした。ホームランばかりを狙っていた彼が、メジャーでの挫折を経験し、自分の未熟さを知る。そして再びマイナーへ戻って基礎から学び直す展開は、単なる成功譚ではなくスポーツ選手の現実的な成長過程として描かれていて好感が持てました。
一方で、作品全体としてはやや物足りなさも感じました。チームには魅力的なキャラクターが数多く登場するものの、掘り下げられる人物が限られているため、バレリーナ出身の選手や双子の選手などは設定だけで終わってしまった印象があります。せっかく個性的な面々が揃っているだけに、それぞれの背景やドラマをもう少し見せてほしかったです。
また、チームが強くなっていく過程も予定調和的で比較的あっさり描かれており、気づけば勝ち進んでいるように感じる場面もありました。もう少し苦戦や葛藤を積み重ねていれば、終盤の逆転劇はさらに盛り上がったと思います。
それでも、マイナーリーグという地味な舞台を活かしながら、野球そのものの楽しさや仲間との絆、そして選手を育てる喜びを描いた作品として十分に楽しめました。派手さよりも人間味を重視したシリーズ異色作であり、スター選手ではなく夢を追い続ける人々にスポットを当てた温かなスポーツ映画だったと思います。
☆☆☆
鑑賞日:2022/09/25 U-NEXT 2026/06/14 U-NEXT
| 監督 | ジョン・ワレン |
|---|---|
| 脚本 | ジョン・ワレン |
| 出演 | スコット・バクラ |
|---|---|
| コービン・バーンセン | |
| デニス・ヘイスバート | |
| 石橋貴明 | |
| エリック・ブラスコッター | |
| ウオルト・ゴギンス | |
| スティーヴ・イェーガー | |
| ジャンセン・ダジェット |


