●こんなお話
相変わらず膨大な登場人物たちが血みどろの戦いを繰り広げていく第3シーズン。
●感想
北では“北の王”ロブ・スタークがラニスター家との戦争を続けていた。戦場では勝利を重ねながらも、政治的には追い詰められていく。ロブは本来、フレイ家の娘と結婚して同盟を結ぶ約束を交わしていたが、戦地で出会ったタリサと恋に落ち、そのまま結婚してしまう。この裏切りによってウォルダー・フレイとの関係は決定的に悪化し、北軍の基盤は大きく揺らぎ始める。
さらに母キャトリンは、娘たちを取り戻したい一心で捕虜だったジェイミー・ラニスターを独断で解放してしまう。北軍内部では不満が噴出し、ロブは仲間たちの信頼を少しずつ失っていく。
一方、解放されたジェイミーは女戦士ブライエニーに連れられて王都へ戻る旅を続けていた。しかし途中でロック率いる傭兵たちに捕まり、右手を切り落とされてジェイミーは精神的にも大きく崩れていく。
その旅の中で、彼はブライエニーに“王殺し”と呼ばれる理由を語る。狂王エイリスが王都ごと民を焼き払おうとしたため、それを止めるために自ら王を殺したという真実だった。
王都キングズ・ランディングでは、ティリオン・ラニスターが“王の手”として政治を支えていた。ブラックウォーターの戦いでは王都を救う活躍を見せたにもかかわらず、父タイウィンから評価されることはなく、甥ジョフリーや姉サーセイからも侮辱され続ける日々を送っている。
ティリオンは恋人シェイとの関係を大切にしていたが、タイウィンはそれすら許さない。政治利用のためティリオンにサンサ・スタークとの結婚を命じ、サンサもまた敵の家へ嫁ぐ運命を押しつけられる。サンサはロラス・タイレルとの結婚話に一瞬だけ希望を抱くものの、それもラニスター家によって潰されてしまう。
さらにリトルフィンガーことペティyr・ベイリッシュが暗躍し続け、サンサを利用しようと近づいてくる。誰も信用できない王都の空気がますます濃くなっていく。
壁の北ではジョン・スノウが野人たちに潜入していた。ジョンはマンス・レイダー率いる巨大な野人軍と行動を共にしながら、ナイツ・ウォッチへ情報を流そうとしている。その中で弓の達人イグリットと親しくなり、互いに惹かれ合うようになっていく。
しかしジョンは、野人たちが“壁”を越えて南へ侵攻しようとしている事実を知り、自らの忠誠との間で葛藤する。やがてジョンは野人たちを裏切り、命懸けで壁へ帰還する。イグリットは彼を追いかけ矢を放つが、致命傷にはならない。恋愛感情と使命の板挟みになるジョンの姿が非常に印象的だった。
海の向こうではデナーリス・ターガリエンが三匹のドラゴンを従えながら軍勢を拡大していた。彼女は奴隷都市アスタポアで“穢れなき軍団”を購入するふりをし、ドラゴンを差し出して取引を成立させる。しかし直後にドラゴンへ命令し、奴隷商人を焼き殺す。
彼女はさらにユンカイでも奴隷たちを解放し、“ミーリーンの母”として崇拝される存在になっていく。
アリア・スタークは逃亡を続ける中で、“旗印なき兄弟団”と遭遇する。そこで炎の司祭メリサンドルがロバートの落とし子のジェンドリーを連れ去り、“王の血”を利用した儀式が行われる。
ドラゴンストーンではスタニス・バラシオンが敗戦後の焦りを抱えながら、メリサンドルの力へ依存していく。ヒルに王の血を吸わせ、ロブ・スターク、ジョフリー、ベイロン・グレイジョイの死を予言する場面は不気味だった。
また、鉄諸島ではシオン・グレイジョイがラムジー・スノウに捕らえられていた。ラムジーは逃がすふりをして再び捕まえるなど、徹底的に精神を破壊していく。やがてシオンは自分自身を失い、“リーク”という名で呼ばれるようになる。
そして物語最大の衝撃、“レッド・ウェディング”が訪れる。ロブはフレイ家との和解のため、叔父エドミュアの結婚式へ参加する。宴は和やかに進み、誰もが安心した空気に包まれていた。しかし突然、「キャスタミアの雨」が演奏される。その瞬間、フレイ家とボルトン家が裏切り、スターク軍への虐殺が始まる。
妊娠中だったタリサは腹を何度も刺され、ロブもルース・ボルトンによって刺殺される。キャトリンは絶望の中で人質を取るものの意味はなく、最後は喉を切られて命を落とす。
アリアは目前で母と兄を失い、ハウンドに引きずられるようにその場を離れる。彼女は復讐心を燃やしながら、フレイ兵を自ら刺し殺していく。
ブラン・スタークが“三つ目の鴉”を探しながら北を旅し続ける。ジョジェンやミーラと行動を共にする中で、自分には狼へ意識を入り込ませる特殊能力があることを理解していく。
ジェイミーは王都に帰還してサーセイと再会し、ジョンは重傷を負ったままナイツ・ウォッチに戻り、デナーリスは奴隷を解放していって次のシーズンへ。
相変わらず登場人物の多さが凄まじく、「今この人は何を目的に動いているんだっけ」と何度も整理しながら観る必要があるドラマでした。それでも、それぞれの人物の行動がしっかり次の事件へ繋がっていく構成が見事で、一度流れに乗ると止まらなくなる面白さがあります。
スターク家の子どもたちが各地へ散らばり、それぞれ生き延びようともがく姿が切なかったですし、ラニスター家は相変わらず愛憎と権力争いが渦巻いていて、誰が味方で誰が敵なのか常に変化していく緊張感がありました。
特にデナーリスの成長はかなり熱かったです。最初は守られるだけだった少女が、ドラゴンと軍勢を率いて奴隷たちを解放し、民衆から支持を集めていく姿には圧倒的なカリスマがありました。あの「自由だ」と宣言する場面はシリーズ屈指の高揚感だったと思います。
その一方で、ティリオンが少し落ち着いてしまった印象もありました。以前のような皮肉たっぷりで暴れ回る感じが控えめになり、政治の中で耐え続ける立場に変わっていたのが少し寂しくもあります。ただ、その分だけ彼の孤独や苦悩はより深く描かれていたように感じました。
ジェイミー・ラニスターの右手切断から始まる変化も非常に面白かったです。最初はただ嫌な男だった彼が、ブライエニーとの旅を通して少しずつ人間味を見せていく。特に浴場で狂王を殺した理由を語るシーンは、このシーズンでも特に印象深い場面でした。
ジョン・スノウもどんどん魅力的になっていました。野人側に身を置きながらも、完全には染まり切れず、自分の信念との間で苦しむ姿が格好良かったです。イグリットとの関係も含めて、ただの“主人公ポジション”では終わらない複雑さがありました。
そして、やはり第9話の“レッド・ウェディング”です。ここまで積み上げてきたスターク家の希望が、一瞬で叩き潰される衝撃は凄まじかったです。観終わったあとにしばらく呆然としてしまうほどで、「本当にここまでやるのか」と落ち込まずにはいられませんでした。
大作ファンタジーでありながら、ここまで容赦なく主要人物を退場させる大胆さは唯一無二だと思います。戦争、陰謀、恋愛、裏切り、復讐が複雑に絡み合いながら、それぞれの人物が自分の信念で突き進んでいく。壮大な群像劇として圧倒的な完成度を持ったシーズンだったと思います。
☆☆☆☆☆
鑑賞日: 2016/04/26 DVD 2026/05/16 U-NEXT
| 原作 | ジョージ・R・R・マーティン |
|---|---|
| 製作総指揮 | デヴィッド・ベニオフ |
| 出演 | ピーター・ディンクレイジ |
|---|---|
| エミリア・クラーク | |
| キット・ハリントン | |
| レナ・ヘディ | |
| ニコライ・コスター=ワルドウ | |
| ジャック・グリーソン | |
| リチャード・マッデン | |
| ミシェル・フェアリー | |
| ソフィー・ターナー | |
| メイジー・ウィリアムズ |



コメント