●こんなお話
愛犬の解毒剤を手に入れるためと家族の復讐をしようとする少女の手伝いをするスーパーガールの話。
●感想
赤い太陽が照りつける辺境の惑星では、宇宙を荒らし回るならず者集団ブリガンズを率いるクレムが、代々名刀を鍛え続けてきた鍛冶師一家のもとを訪れる。父親は家宝の名刀を差し出せば家族だけは見逃してもらえると信じていたが、事情を知らず家の外へ出てきた息子がクレムによって容赦なく殺されてしまう。その光景を目の当たりにした母親は怒りのまま立ち向かうが返り討ちに遭い、父親も命を落とす。一家は壊滅するものの、娘ルーシーだけは理由も告げられないまま生かされる。家族の亡骸を前にしたルーシーは、父が遺した名刀を携え、復讐だけを胸にクレムを追う旅へと出発する。
その頃、故郷クリプトンの崩壊から生き延びたカーラ・ゾー=エルは、従兄カル=エルよりも長く過酷な人生を歩んできた心の傷を抱え、愛犬クリプトとともに赤い太陽が輝く惑星で酒に溺れる日々を送っていた。赤い太陽の下ではクリプトン人の超人的な能力は失われるため、カーラは普通の女性と変わらない力しか発揮できず、自暴自棄な毎日を続けている。そんな彼女の前へルーシーが現れ、家族の仇討ちに協力してほしいと頼み込むが、カーラは他人の復讐には関わりたくないとして冷たく断ってしまう。
翌朝、宇宙船の周囲で遊んでいたクリプトが偶然クレムを見つけて駆け寄る。しかしクレムは迷うことなく毒を塗った矢を放ち、クリプトは瀕死の重傷を負う。解毒剤を持っているのはクレムだけであり、このままでは三日しか命が持たないと知らされたカーラは、愛犬を救うためクレムを追う決意を固める。ルーシーも再び同行を申し出て、復讐と救出という異なる目的を抱えた二人は行動を共にする。
二人は宇宙バスでクレムを追跡する途中、宇宙海賊の襲撃を受ける。しかし航路が黄色い太陽の光を浴びる宙域へ入った瞬間、カーラは本来の能力を取り戻し、飛行能力や怪力、圧倒的な戦闘力を発揮して海賊たちを一掃する。生き残った敵からクレムの居場所を聞き出した二人は、その情報を頼りに次の惑星へ向かう。
目的地では賞金稼ぎロボと出会い、さらに酒場の主人からクレムの居場所を知っている人物を紹介すると持ち掛けられる。しかし、それは巧妙な罠だった。酒場の主人はクレムに娘を連れ去られており、娘を取り戻すための交換材料としてカーラとルーシーを利用しようとしていたのである。主人はカーラへ毒を飲ませて無力化しようとするが、カーラは間一髞で毒を吐き出して反撃する。しかしクレム一味との戦闘では数で圧倒され、二人とも捕らえられてしまう。
その後もカーラたちは何度もクレムを追い詰めるものの、そのたびに逃げられ、追跡劇は宇宙各地へ広がっていく。カーラは罠にはめられ、緑色と黄色の太陽が入り混じる特殊な惑星へ置き去りにされてしまう。一方、ルーシーはクレムに連れ去られ、牢獄へ監禁される。そこには同じく捕らえられたロボも収監されており、二人は協力して脱出を図る。
ルーシーは隙を突いて看守を倒し、牢の鍵を奪ってロボとともに脱出する。そのままクレムへ挑むが、多勢に無勢で追い詰められてしまう。そこへ黄色い太陽の光を十分に浴びて完全復活したカーラが飛来する。ルーシーが用意していたスーパーガールのコスチュームを身にまとったカーラは、本来の圧倒的な能力を発揮し、ブリガンズを次々と打ち倒していく。巨大な敵を素手で吹き飛ばし、空中戦でもクレムを圧倒するなど、宇宙最強クラスの力を見せつける。
激闘の末、満身創痍となったクレムの前へルーシーが歩み寄る。家族を奪った仇へ剣を振り下ろそうとするが、カーラは復讐によって心まで奪われてほしくないと語り掛ける。ルーシーは苦しみながらも復讐を思いとどまり、自ら剣を収めてその場を去る。彼女が見えなくなったあと、カーラはこれ以上クレムを生かせば再び多くの命が奪われると判断し、自らとどめを刺して長年にわたる悪行へ終止符を打つ。
カーラはクレムから解毒剤を手に入れ、急いでクリプトへ投与する。クリプトは一命を取り留め、再び元気な姿を見せる。旅を終えたルーシーは父の剣を携え、自らの人生を歩み始めることを決意する。カーラも新たな覚悟を胸に地球へ向かい、従兄カル=エルのもとを訪れる。そして「これからは私も一緒に人々を守る」と決意を伝え、新たなスーパーガールとして生きていっておしまい。
本作は宇宙を舞台にしたロードムービーのような構成になっており、さまざまな惑星や個性的な宇宙人、巨大な宇宙船が次々と登場するため、SF作品らしいスケールの大きな世界観を存分に楽しめました。訪れる星ごとに景色や文化の雰囲気が異なり、「次はどんな場所へ向かうのだろう」とワクワクしながら観られる作品になっています。クリプトやロボなどのキャラクターも物語に彩りを加えており、宇宙を旅する冒険映画としての魅力は十分に感じられました。
一方で、物語は回想などが何度も挿入される構成になっており、テンポが頻繁に途切れてしまう印象も受けました。キャラクターを掘り下げようとしている意図は伝わるものの、旅が進んでは回想に入り、また現在へ戻る流れが繰り返されるため、上映時間以上に長く感じる場面もありました。
アクションシーンについても、スーパーガールの圧倒的な能力を活かした豪快な映像は見応えがありますが、全体的には近年のハリウッド大作でよく見かけるCG主体の大規模バトルという印象が強く、新鮮さはあまり感じられませんでした。迫力は十分にあるものの、似たような映像が続くこともあって緊張感が薄れ、終盤は少し眠気を感じてしまいました。
それでも、宇宙を巡る壮大な冒険やカーラとルーシーの交流、クリプトとの絆を描いたドラマには見どころがあり、新しいDCユニバースの幕開けを感じさせる作品として楽しめました。SFアドベンチャーが好きな方であれば、世界観やキャラクター同士の掛け合いを中心に満足できる一本だと思います。
☆☆☆
鑑賞日:2026/06/30 イオンシネマ座間
| 監督 | クレイグ・ギレスピー |
|---|---|
| 脚本 | アナ・ノゲイラ |
| 出演 | ミリー・オールコック |
|---|---|
| イヴ・リドリー | |
| ジェイソン・モモア | |
| マティアス・スーナールツ | |
| デヴィッド・クラムホルツ | |
| エミリー・ビーチャム |

