映画【あの夏、僕たちが好きだったソナへ】感想(ネタバレ):青春の日々と忘れられない恋を描く

You Are the Apple of My Eye (2024)
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●こんなお話

 高校の同級生たちと過ごす日々と大学後の話。

●感想

 高校生のジヌは勉強よりも友人たちとの遊びを優先する、ごく普通の少年だった。授業中に騒いでは教師に叱られ、将来の夢も見つからないまま毎日を過ごしている。一方でソナは成績優秀で真面目な優等生として知られ、教師からの信頼も厚く、男子生徒たちの憧れの存在となっていた。

 本来であれば接点のない二人だったが、ある日、授業中にソナが教科書を忘れてしまったことをきっかけに距離が縮まっていく。勉強が苦手なジヌはソナから教わるようになり、放課後に一緒の時間を過ごす機会も増えていく。最初は特別な感情を抱いていなかったジヌだったが、真面目で優しいソナの姿に触れるうちに少しずつ惹かれていく。

 ソナもまた、周囲の優等生たちとは違うジヌの素直さや不器用な優しさに心を開いていく。二人は恋人同士にはならないものの、周囲から見れば特別な関係に映るほど近い距離で青春の日々を共有していく。

 高校生活では仲間たちとの賑やかな時間も描かれる。教室での悪ふざけ、放課後の寄り道、カラオケで騒ぐ時間、雨の日にバス停で過ごしたひとときなど、何気ない日常が積み重なっていく。ジヌにとってソナと過ごす時間は何よりも大切なものとなり、忘れられない青春の思い出になっていく。

 やがて高校卒業の時が訪れて、ジヌは努力の末に志望大学への進学を果たすが、ソナは入試で思うような結果を残せず、目標としていた大学への進学を逃してしまう。それぞれ別々の大学へ進んだことで、二人の関係にも少しずつ変化が生まれる。

 高校時代のように毎日顔を合わせることはなくなり、新しい友人や環境の中で生活するようになる。お互いを大切に思う気持ちは変わらないが、将来への考え方や価値観の違いも見え始める。会いたい気持ちはありながらも、あと一歩を踏み出せず、二人は微妙な距離感を保ったまま時を重ねていく。

 そんな中、兵役に就いたジヌは台風の接近によって避難を余儀なくされるソナを心配する。任務の合間に連絡を取り合った二人は、それぞれ離れた場所にいながら同じ月を見上げる。その時間は二人の心が再び近づいたようにも見えるが、運命は別の方向へ進んでいく。

 年月が流れ、大人になったソナは別の男性との結婚を決意する。結婚式に招待されたジヌは、学生時代の思い出を振り返りながら会場へ向かう。叶うことのなかった初恋だったが、ソナと過ごした日々はかけがえのない宝物として心の中に残り続けている。

 結婚式では和やかな空気の中で祝福の時間が流れる。そこでソナは冗談交じりに「新郎にキスしてみて」と提案し、ジヌが新郎にキスをするというコミカルな場面も描かれる。

 ジヌはソナの幸せを受け入れ、自分の中に残る初恋の記憶と向き合っておしまい。


 青春映画には、その時代を実際に経験した人だけが共感できる作品と、経験の有無を超えて懐かしさを感じさせる作品があります。本作は間違いなく後者でした。 

 学生時代に好きな人がいた人はもちろん、そうした甘酸っぱい思い出がない人であっても、「こんな青春を送ってみたかった」と思わせる不思議な魅力があります。教室での何気ない会話や放課後の寄り道、友人たちとのくだらないやり取りなど、一つ一つの場面がどこか懐かしく感じられ、見ているだけで遠い記憶を呼び起こされるようでした。

 特にジヌたち男子生徒のバカバカしいやり取りが非常に微笑ましく、青春映画らしい活気に満ちています。真面目な恋愛映画というよりも、若さゆえの勢いと騒がしさが詰まった青春群像劇として楽しめる部分が大きかったです。

 また、ソナという存在も魅力的でした。完璧な優等生でありながら近寄りがたい人物ではなく、どこか親しみやすさがあり、ジヌが惹かれていく理由にも納得できます。二人の距離感は最後まで絶妙で、恋人になるかならないかの曖昧な関係だからこそ切なさが生まれていました。

 一方で、本作を見ながらどうしても考えてしまったのは台湾版との比較です。物語の骨格や主要な展開がかなり共通しているため、台湾版を鑑賞済みの方にとっては新鮮味を感じにくい部分もあると思います。韓国ならではの文化や兵役の要素など違いはありますが、全体としては原作への忠実なリメイクという印象が強く残りました。

 そのため、「初めてこの物語に触れる人」には十分おすすめできる作品ですが、「台湾版が大好きで何度も見ている人」の場合は、物語そのものよりも韓国版ならではの演出や俳優陣の魅力を楽しむ作品になるかもしれません。

 それでも青春時代のきらめきや、好きだった人を思い出す切なさはしっかり伝わってきます。恋が実ることだけが青春ではなく、叶わなかった思い出も人生を彩る大切な一部なのだと感じさせてくれる一本でした。

☆☆☆

鑑賞日:2026/06/13 DVD

監督チョ・ヨンミョン 
脚本クァク・ジェヨン 
キム・チンギョン 
原作映画脚本ギデンズ・コー 
出演ジニョン 
ダヒョン(TWICE)
ソン・ジョンヒョク 
キム・ヨハン 
イ・ミング 
イ・スンジュン 
キム・ミンジュ 
パク・ソンウン 
シン・ウンジョン 
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