映画【シン・ゴジラ】感想(ネタバレ):リアルシミュレーション×ミリタリー描写!庵野監督版ゴジラの新境地

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●こんなお話

 東京にゴジラが現れて偉い人たちがあーだこーだ会議ばかりして、ときどき軍事オタクな描写が挿入される話。

●感想

 冒頭からフルスロットルで大量のカットと膨大なセリフ、登場人物の多さでハイテンションに続く作風でした。日本にゴジラが現れたらどうなるかというリアルなシミュレーションとして、非常に楽しめる内容です。この手の映画にありがちな「無能な上層部」と「頑張る現場」という構図が描かれており、自衛隊や在日米軍の戦闘シーンも非常に丁寧に描写されています。ミリタリーファンなら興奮できるシーンが多いと感じました。

 ただ、全体的にエヴァンゲリオンの実写版を見ているかのような錯覚に陥り、エヴァの音楽まで流れるシーンがあり、思わず笑ってしまいました。物語が進むにつれて、「これはゴジラでなくても巨大不明生物でも良いのでは?」、「日本沈没を題材にしてもよかったのでは?」と疑問を感じ、次第に退屈に思えてしまいました。

 序盤の総理をはじめとする政府首脳の慌ただしい様子は楽しめましたが、ゴジラの圧倒的な強さによる壊滅状態や新たな作戦展開のシークエンスは、ずっと同じテンションが続くため疲れて集中力が切れてしまいました。取材内容を詰め込みすぎて取捨選択が不足している典型的な例かと思います。

 リアルなシミュレーションながら、ゴジラに通常兵器が効かない理由や、新兵器の開発過程が描かれず、クライマックスの作戦も無茶苦茶に見え、盛り上がりに欠けました。映画としてのフィクションの盛り上がりも期待したかったところです。

 物語が退屈なため、犬童一心監督、緒方明監督、原一男監督、塚本晋也監督、岡本喜八監督など様々な映画監督が出演している小ネタで楽しむしかない作品でした。

 東宝のゴジラ作品としてはやや不満もありますが、庵野監督による新たなゴジラ像としては異色かつ評価できる作品で、今後多様な監督が「俺の思うゴジラ」シリーズを作るきっかけとなる光明を示した作品だと感じました。

☆☆☆

鑑賞日: 2016/08/02 チネチッタ川崎  2017/05/04 Blu-ray  2018/08/03  Amazonプライム・ビデオ

総監督庵野秀明 
監督樋口真嗣 
准監督尾上克郎 
脚本庵野秀明 
出演長谷川博己 
竹野内豊 
石原さとみ 
市川実日子 
大杉漣 
國村隼 
塚本晋也 
ピエール瀧 
岡本喜八 
野村萬斎 

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