●こんなお話
企業が環境汚染を垂れ流してると抗議の焼身自殺をした漁民を調べるうちに企業の環境問題や政治の汚職に立ち向かう法医学者と検察官の話。
●感想
冒頭、海沿いに並び立つ煙を吐き出す工業地帯。漁民たちの船が警備している警察に魚を投げつけて抗議している。市長が代表してその企業の環境汚染を訴えてヒーローになっているらしい。そこに火だるまの船が突っ込んできて、燃える人間が乗っていることがわかって…。
主人公がその遺体を調べることになって、どうやら焼身自殺ではないらしいことがわかってくる。内臓が青く光ったり怪しいことが判明してきて、主人公と昔恋仲だったらしい検察官と共に真相を調べていくことになる。正義の熱血漢の市長が企業の社長に熱く問い詰めたり、市長も何やら怪しい行動をしたり、亡くなって英雄化した漁民とその未亡人に何があったのかとが描かれていきます。台湾の環境汚染や政治汚職を描きながら主人公同士の恋愛などもあったりして緊迫した110分でした。
ただ法医学者の主人公が遺体からメッセージを受け取って真相に迫るというものがあまりなく、特に自分たちで解決することがないというのが感じました。主人公のもとに未亡人が息子が「高熱になった」と駆け込んできたきっかけで証言をし始めて回想が入ったり、漁民の外国人妻をあっせんしているらしい男が市長を見限って自首して自白をしてはじめて、焼身自殺した男性に何が起こったのかが回想が入るというので、あまり事件を解決している感がなく面白みに欠けました。
検察官が不正を暴こうとチームを組んで隠密的に捜査をしてピンチになって、それを救う主人公というのが見せ場になりますが。そこでのオチは意外性のあるもので面白かったですが、そこから検察官の個人的に保存していたデータを持って不正を暴くという流れもあっという間に解決してしまって、それまで怖い存在だった企業や政治の悪が、簡単に記者の質問で崩壊するのとかもあっけなかったです。
不正を暴いていくサスペンスよりも主人公とヒロインの恋愛とかが合間に結構な比重で描かれて、正直そこらへんも必要に感じられず、ただ退屈の時間が多めでした。
政治腐敗や環境問題とかのポリティカルサスペンス的な面白さは数多く作られた他の作品との違いを見いだせない1本でした。
☆☆☆
鑑賞日:2021/04/26 ケイズシネマ
監督 | ジャン・ジンシェン |
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脚本 | ワン・リーウェン |
出演 | ウー・カンレン |
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イレブン・ヤオ | |
チェン・イーウェン | |
イン・シン | |
シュー・シーファン |