映画【青島要塞爆撃命令】感想(ネタバレ):戦争映画にユーモアを交えた痛快娯楽作

Siege of Fort Bismarck
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●こんなお話

 第一次世界大戦で青島にあるドイツ軍の要塞を攻撃する日本軍の話。

●感想

 日本の戦争映画としては湿っぽさを抑え、明るい娯楽活劇として仕上げられており、単純に楽しめるエンターテインメント作品だった。舞台となる時代は、まだ航空機が主力兵器として成熟しきっていない頃。複葉機から爆弾を直接落とす場面が描かれ、その素朴な戦法をスクリーンで見ることができるのは新鮮で、戦争映画でありながらどこか牧歌的な雰囲気も感じられました。

 物語は、連合軍からの強引な要請を受け、日本軍が大規模な総攻撃を決行することから始まる。陸海空軍が一体となって要塞攻撃を行う中、主人公たち飛行機乗りは重要な任務を任される。しかし彼らは、戦時下にもかかわらず妙にのんびりしており、中国の人々を気遣ったり、捕まっても慌てず、むしろ飄々とした態度で状況を切り抜けていく。この軽妙なキャラクター造形が、作品全体をコメディとしても楽しめるものにしています。

 それでいて、娯楽作品らしく仲間が戦いの中で命を落とす場面もあり、戦争の側面を忘れさせない。爆撃シーンでは、釘やレンガといった即席の爆弾を落とす描写もあり、あまりにユニークな発想に思わず笑ってしまいそうになるが、同時にその背景を考えさせられる複雑な魅力がありました。

 演出面でも特徴的な工夫が見られる。例えば、ドイツ兵が驚く場面では通常の字幕だけでなく、画面いっぱいに感情を強調する字幕が表示されるという意外性のある手法が使われ、映像的な遊び心が光っていました。

 そしてクライマックスでは、爆弾を積んだ列車が連鎖的に爆発し、トンネル内に轟く爆音と炎が映し出される。このシーンの迫力は、現代の映像に慣れた目で見ても圧倒されるレベルで、観客を一気に物語の中へ引き込む力があると思いました。娯楽作品として最後までテンポよく、観る者を楽しませてくれる映画だったと感じました。

☆☆☆☆

鑑賞日:2020/11/04 DVD

 

監督古沢憲吾 
特技監督円谷英二 
脚本須崎勝弥 
出演佐藤允 
夏木陽介 
加山雄三 
伊吹徹 
池部良 
浜美枝 
成瀬昌彦 
藤田進 
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