映画【連合艦隊】感想(ネタバレ):山本五十六から特攻隊まで史実に迫る戦争映画

●こんなお話

　太平洋戦争の軍人や市井の人たちの話。

●感想

　当時の海軍の動きをマクロな視点から描く一方で、2つの家族が戦争に巻き込まれていく姿も同時に追っていきます。特攻隊員として戦う彼らの姿は、悲壮感にあふれ胸を締めつけられます。特に「親より先に死ぬやつがあるか！」という言葉が重く響き、戦う決意と葛藤が胸に深く残りました。ラストシーンで、戦艦大和が炎上するのを特攻隊員が上空から見守りながら主題歌が流れる場面は、涙がこぼれそうなほど感動的でした。

　海軍の動きも丁寧に描かれていて、役者たちの迫力ある演技が素晴らしかったです。日独伊三国同盟に反対し続けた山本五十六の姿に始まり、真珠湾攻撃の可否を巡る軍令部と連合艦隊司令部の激しい対立は見応えがありました。真珠湾攻撃後のミッドウェイ作戦では、市井の人々まで作戦の内容を知っている様子が描かれ、かつての極秘作戦とは状況が大きく変わったことがよくわかります。

　その後のミッドウェイでの大敗、山本長官の死、レイテ作戦でのハルゼー提督との駆け引き、そして戦艦大和を突っ込ませるも失敗に終わる連携の難しさなど、史実をもとにした緊張感あふれる描写が続きます。最終的には帝国海軍の意地だけで成功の見込みのない菊一号作戦に挑むが、戦艦大和の最期を描き出していました。

　永野修身、山本五十六、宇垣纏、小沢冶三郎、伊藤整一、有賀幸作、南雲忠一、草鹿龍之介といった実在の人物はもちろん、架空のキャラクターたちも多く登場し、それぞれが目的に向かって動いていく様子が描かれています。特に若い飛行機乗りが「飛び立つことはできるが艦上に着陸できないため、そのまま特攻に向かう」と語るシーンは言葉を失うほど胸に響くものでした。

　ただ、女性陣の描写があまり必要ないのではと思う部分もあったり。戦闘シーンは現代の目で見ると迫力不足や昭和史のダイジェストのような印象を受け、高速で流れていきますが、全体で145分と長尺ながら飽きることなく鑑賞できる1作でした。

☆☆☆☆☆

鑑賞日:2012/01/28　Blu-ray　2010/09/12　DVD