●こんなお話
幽霊が人を怖がらせないと消滅してしまう世界で頑張って人気女幽になろうとチームで頑張る話。
●感想
幽霊の世界では、人間を怖がらせることで人気を獲得できる仕組みが存在する。かつてその頂点に立っていたスター女幽もいたが、今では新しい世代にその座を奪われていた。
主人公の幽霊は仲間と共にさまよっていたが、ある時、自分たちが消滅してしまう可能性があるという厳しいルールを知る。それは、幽霊は人間を怖がらせる「芸」を身につけて名を上げなければ存在を保てない、というものだった。残された時間は30日。彼女は「怖い幽霊」になるべく挑戦を決意し、オーディションを受ける。しかし全く怖がられず笑われてしまい、挫折を味わう。そんな彼女の前に、かつてアイドルとして活躍し、現在は幽霊たちをマネジメントするプロデューサー・マコトが現れ、スカウトされる。
マコトの事務所には、過去に人気を博したものの今は過去の存在となっているキャサリンという幽霊も所属していた。主人公はマコトやキャサリンと共に、心霊スポットのホテルを舞台にした怖がらせのステージ演技に挑戦する。どうすれば効果的に恐怖を演出できるか、見せ方や工夫を学びながら試行錯誤を繰り返していく。
一方で、幽霊社会の競争的な側面も描かれる。スター幽霊たちの存在やマネジメント、評価制度が整備されており、新人幽霊はその厳しい世界に晒される。中でも、すでに高い地位を確立しているジェシカは主人公にとって目標であると同時に大きな壁となる。主人公が屋上から飛び降りるパフォーマンスで成功を収め一気に注目を浴びると、ライバルであるジェシカは彼女の失敗映像を晒し、笑い者にして追い込む。
さらに、人間界の人気インフルエンサーがホテルに肝試しに訪れることとなり、主人公チームとジェシカチームが対決する流れへ。両者は得意技を競い合い邪魔しあい、対立を深めながらも、自分たちが人間に怖がられることこそが存在証明であることを思い知る。主人公は自らの「芸」を見つけ出し、幽霊としての自分を受け入れることで消滅の危機を乗り越える。彼女は自分の居場所を見つけ、幽霊として歩み始める可能性を掴むのだった。という。
まず幽霊世界のディテールやルールの描写が非常に面白く、ホラー映画をメタ的に眺めているような構造もユニークに感じました。主人公たちのチームにも魅力があり、それぞれが承認欲求を抱え、認められることを目指して競い合う姿には人間社会の縮図のような奥行きがありました。幽霊の存在証明を「芸」として表現する発想は新鮮で、物語全体をユーモラスに支えていたと思います。
一方で、ギャグ要素に関しては好みが分かれる部分だと思います。私は少し合わず、悲しい場面やテンポの切り替えに乗り切れず退屈に感じた箇所もありました。しかし、ホラーとコメディの境界線をあえて曖昧にすることで独特の雰囲気を生んでおり、その試み自体は興味深いと感じました。
☆☆☆
鑑賞日:2025/09/23 シネマート新宿
監督 | ジョン・スー |
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脚本 | ジョン・スー |
ツァイ・クェンリン |
出演 | チェン・ボーリン |
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チャン・ロンロン | |
ワン・ジン | |
ヤオ・イーティー |