●こんなお話
イギリスが感染者だらけになったけど、何とかロックダウンで抑え込んだので子供たちが戻ってきたら主人公のお父さんきっかけでパニックになっていく話。
詳細ネタバレあらすじ
レイジウイルスの感染がイギリス全土へ広がり始めた頃、ドンは妻アリスや数人の生存者とともに田舎の農家へ身を潜めて暮らしていた。ある日、一人の少年が感染者から逃げながら助けを求めてくる。仲間たちは家へ入れるべきか激しく言い争うものの、最後は少年を保護する決断を下す。しかし、その直後に大量の感染者が農家へ押し寄せる。
生存者たちは次々と襲われ、家の中は地獄のような状況となる。ドンは助けを求めるアリスを残したままボートへ飛び乗り、自分だけ逃げ延びる。
それから28週間後。感染者は餓死したと判断され、アメリカ軍主導によるロンドン復興計画が始動する。ストーン准将の指揮のもと、第1地区には生存者が戻り始め、ドンも管理人として働いていた。感染発生時に海外へ避難していた子どもたち、タミーとアンディも帰国し、家族は久しぶりの再会を果たす。しかしドンは、アリスは死亡したと子どもたちへ伝える。
やがてタミーは母の写真を取りに行きたいと言い出し、アンディとともに立ち入り禁止区域となった自宅へ忍び込む。荒れ果てた家を探索していると、死んだはずのアリスが一人で生き延びている姿を発見する。軍はただちに3人を保護し、医療施設へ搬送する。
医務官のスカーレット少佐が検査した結果、アリスはレイジウイルスへ感染しているにもかかわらず発症していない極めて珍しい「無症候性キャリア」であることが判明する。体内にはウイルスが存在するものの本人は理性を保ち、唾液や血液を介して他者へ感染させる特殊な存在だった。スカーレットは彼女の体内に治療法開発の可能性を見いだし、軍上層部へ報告せず秘密裏に保護しようと考える。また、アンディも母親と同じ特徴的な虹彩を持っており、遺伝的な関係が示唆される。
一方、ドンは生きていた妻への罪悪感から彼女のもとを訪れる。アリスは彼を責めることなく迎え入れ、二人は静かにキスを交わす。しかし、その瞬間にアリスの唾液を介してドンは感染し、数秒後には理性を失う。狂暴化したドンは最初にアリスへ襲いかかり、そのまま施設内で次々と人々を襲撃する。
基地はあっという間に感染者であふれ返る。軍は感染者と非感染者を識別できなくなり、感染拡大を阻止するためストーン准将はコード・レッドを発令する。しかし避難誘導は失敗し、感染者が人混みに紛れ込んだことで状況は制御不能となる。
やがて命令はコード・パープルへ切り替わり、兵士たちは感染の有無を問わず、市民全員を射殺するよう命じられる。さらにナパーム弾による都市空爆まで実施され、第1地区は炎と爆発に包まれていく。
狙撃兵ドイル軍曹は民間人を撃つ命令へ従うことができず、タミーとアンディを救うため軍を離脱する。スカーレット少佐もアンディの血液に希望を託し、ヘリコプターパイロットのフリンとともに子どもたちを連れて脱出を開始する。
地下鉄や廃墟を逃げ回る一行は、感染者だけでなく暗視装置を装備したアメリカ兵からも無差別攻撃を受ける。空爆後にガス攻撃されて、逃走する中、ドイルは火炎放射器にやられて命を落とす。
スカーレット、タミー、アンディはフリンのヘリコプターへたどり着くが、その直前にドンが現れる。暗闇の地下鉄でドンはスカーレットを殺害し、アンディへ噛みつくものの、アンディは母と同じ無症候性キャリアだったため発症しない。
その直後、タミーは父ドンを射殺し、兄妹はフリンのヘリコプターでロンドンを脱出してイギリスを後にしておしまい。
●感想
シリーズ冒頭から静かな緊張感を積み重ね、一気にパニックへ雪崩れ込む構成が非常に見事でした。暗闇の農家で息を潜めて暮らす人々が、ドアを開けるかどうか葛藤する場面だけでも十分に緊張感があります。その後、少年を助けた瞬間に感染者が押し寄せ、一気に地獄へ変わる展開は強烈なインパクトでした。そして妻を置き去りにして全力で逃げるドンの姿は、人間の弱さをこれ以上ないほど印象づけています。
復興したロンドンで子どもたちと再会し、新しい生活が始まる流れも束の間、立ち入り禁止区域へ子どもたちだけで侵入し、生きていた母親を発見する展開は、ジャンル映画らしい勢いがありました。自分だけ逃げ延びた父親が気まずそうに振る舞う姿も印象的ですし、何か月もの間生き延びたアリスが無症候性キャリアだったという設定も物語へ説得力を与えています。
一方で、重要人物であるアリスの警備があまりにも手薄だったことや、ドンが簡単に病室へ侵入できてしまう流れは少し気になりました。とはいえ、その油断が取り返しのつかない事態を招き、一瞬で感染が再拡大していく展開は非常にスリリングです。
感染が基地全体へ広がってからは、本作最大の見どころと言えるパニックシーンが続きます。感染者と一般市民の区別がつかなくなった米兵が無差別射撃を始める場面は緊張感に満ちており、誰が生き残るのかわからない恐怖が最後まで続きます。命令に従えず子どもたちを助けるため行動するドイル軍曹も魅力的な人物で、彼の存在が作品へ人間味を加えていました。
さらに、ナパーム弾による都市空爆はスケールが大きく、燃え上がるロンドンの映像は圧巻です。炎に包まれた街並みや逃げ惑う人々が映し出されるシーンは迫力があり、シリーズ屈指のスペクタクルシーンでした。ゴア描写も容赦がなく、ヘリコプターのローターで感染者を次々となぎ倒していく場面は、ブラックユーモアも交えた強烈な映像として印象に残ります。
もちろん、主人公たちが何度も警備を突破できてしまうことや、結果的に多くの犠牲者を生んでしまう展開など、ジャンル映画らしい大味な部分もあります。しかし、「善意から始まった行動が次々と悲劇を呼び込む」という連鎖が最後まで描かれており、単なるゾンビ映画では終わらない重みを感じました。
約100分という上映時間の中で、街からの脱出劇、サバイバル、アクション、パニックホラーを高い密度で詰め込んだ作品でした。前作とは異なるスケールで描かれる都市崩壊も見応えがあり、最後まで緊張感が途切れない一本として楽しめました。
☆☆☆☆
鑑賞日:2014/04/02 DVD 2021/10/28 Disney+ 2026/07/31 U-NEXT
| 監督 | フアン・カルロス・フレスナディージョ |
|---|---|
| 脚本 | ローワン・ジョフ |
| フアン・カルロス・フレスナディージョ | |
| エンリケ・ロペス・ラビニュ | |
| ジーザス・オルモ | |
| 製作総指揮 | ダニー・ボイル |
| アレックス・ガーランド |
| 出演 | ロバート・カーライル |
|---|---|
| ローズ・バーン | |
| ジェレミー・レナー | |
| ハロルド・ペリノー | |
| キャサリン・マッコーマック | |
| マッキントッシュ・マグルトン | |
| イモージェン・プーツ | |
| イドリス・エルバ |


