映画【レッド・ブレイド】感想(ネタバレ):少女忍者の成長と異世界修行を描く忍者アクション映画

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●こんなお話

 いじめられっ子の主人公が絵本の中に入って忍者として生きがいを見つけていく話。

●感想

 忍者・才蔵による忍者アクションが展開され、敵を斬り倒すたびに赤や青の粉が舞い上がる。激しい殺陣と派手なビジュアルで始まる導入となっていて、一気に忍者映画の世界へ引き込もうとする勢いがある。

 主人公の女子高生マコは、学校でも家庭でも居場所を見つけられずに生きていた。学校では同級生から嫌がらせを受け、陸上部でも顧問から厳しく叱責され続ける。さらに父親がトラブルを抱えて警察沙汰となったことで、周囲から冷たい目を向けられ、クラスメイトからも父親の件をからかわれてしまう。家に帰っても両親の関係は険悪で、母親も情緒不安定になっており、マコにとって現実世界は息苦しい場所になっていた。

 そんな中、マコが唯一安心できる場所が学校の図書室だった。そこで彼女は忍者を題材にした児童書『雷風刃』を読み続けている。

 ある日、マコは図書室で不思議な現象に巻き込まれ、そのまま絵本の世界へ入り込む。目を覚ますと、そこは戦乱の続く忍者の世界だった。マコの前に現れたのは伝説の忍者・才蔵であり、マコの忍者修行が始まっていく。

 マコは最初、刀すらまともに扱えず。しかし才蔵や仲間たちは容赦なく訓練を課していく。走り続け、木々を飛び回り、刀を何度も振り続ける日々が続く。途中では池谷幸雄さん演じるキャラクターが突然現れて特訓を担当するなど、かなり独特な展開も挟まれる。

 一方その頃、現実世界では絵本の悪役である原田勘助が出現して暴れ始める。暴力的で残忍な原田は現代社会でも容赦なく人々を襲撃し、マコの父親まで拉致してしまう。

 マコは忍者として成長しながら任務にも参加するようになり、敵地への潜入や戦闘を経験していく。現実では何もできなかった少女が、自分の意思で戦う力を身につけていく流れになっている。仲間であるヒロやユウも彼女を支えながら戦い続ける。

 やがてマコは現実世界へ戻り、父親を救うため原田のアジトへ向かう。そこで原田の部下たちとの戦いが繰り広げられ、マコは忍者として鍛えた力で敵を倒していく。そして最後には原田との直接対決となる。

 しかし原田の戦闘能力は圧倒的で、マコは追い詰められてしまう。原田は余裕を見せながらマコを嘲笑し、部下たちも彼女を取り囲む。だがマコは事前に爆弾を仕掛けていた。原田から「卑怯だぞ」と怒鳴られると、マコは「それが忍びだ」と返答。その直後、爆発によって原田たちは吹き飛ばされ、戦いは決着しておしまい。


 冒頭の坂口拓さんによる殺陣シーンはかなり楽しかったです。敵が斬られるたびに赤や青の粉を吹き出して倒れていく演出は意味不明なのに妙にクセになり、勢いが最初から全開でした。あの色粉演出だけでもかなり印象に残ります。

 現代パートでは、主人公マコが学校にも家庭にも居場所を見つけられず苦しんでいて、父親のトラブルを理由に周囲から責められ、顧問教師からも怒鳴られ続けるなど、とにかく閉塞感の強い状況が続きます。「こんな世界嫌だ」と感じている彼女が絵本の世界へ逃げ込むという構図になっていますが、高校生が児童書へ強く執着している設定には少し入り込みづらさがありました。小説ではなく絵本である意味が、物語全体とそこまで深く結びついていない印象です。 

 忍者世界へ入ってからは修行シーンが続きますが、盛り上がるタイプの特訓ではなく、かなり淡々としているのも特徴的でした。普通なら「強くなっていく快感」が出そうな場面なのですが、本作では唐突に池谷幸雄さんが出てきたり、修行描写が短く繋がれていくため、不思議なテンポ感になっています。

 また、絵本の物語そのものが観客へ十分共有されないまま進行するため、「絵本世界での成長が現実世界の問題へどう繋がるのか」という部分が少し見えづらかったです。現実と異世界がリンクしていく面白さをもっと強く押し出せば、かなり印象も変わった気がしました。

 お母さんの精神状態もかなり不安定で、家族描写は終始かなり重めです。そのため青春ファンタジーというより、閉塞感の強い世界から忍者世界へ逃避する物語として見たほうがしっくりくる作品でした。

 アクション面では、敵役の岩永ジョーイさんの動きは非常にかっこよかったです。スピード感もあり、身体能力の高さはかなり伝わってきました。ただ、その動きを見せるカメラワークと編集が激しく動きすぎていて、何をしているのか把握しづらい場面が多かったです。せっかく動ける役者さんが揃っているのに、カット割りが細かすぎてアクションの流れが見えにくく、そこはかなりもったいなく感じました。

 全体としては、いじめられっ子の少女が忍者世界で戦うという設定自体は面白いのですが、ドラマ面もアクション面ももう少し整理されていれば、さらに感情移入できた気がします。とはいえ、忍者映画らしい勢いや独特の空気感は強く、坂口拓さんの存在感を楽しむ作品としては十分印象に残る一本でした。

☆☆

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監督石原貴洋 
総合演出坂口拓 
脚本龍一朗 
原案園子温 
出演小倉優香 
搗宮姫奈 
花影香音 
岩永ジョーイ 
美音咲月 
徳江かな 
咲村良子 
榊英雄 
坂口拓
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